The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

sideアイズレンシア

ーーーーー…その頃。客席では。

「あぁ、つまんね~…。ルナ公はまだかよ?アリューシャ達、こんなへっぽこ高校生じゃなくて、ルナ公を見に来たんだけど?まだなの?」

「ちょっと。大きな声で言うと周りに聞こえるよ」

「だってつまんねぇ!」

たしなめはしたものの、アリューシャの気持ちも分からないではない。

確かに、つまらない。

高校生の女装・男装に何を期待していたのかと言われるかもしれないが…何と言うか、クオリティーが低い。

逆にクオリティーが高い人ばかりでもドン引きだけど。

「ルナニア、まだかなぁ…」

シュノが、寂しげに呟いていた。

シュノにしてみれば、彼女はルナニア、ことルレイアを見に来ただけなのであって、その他の人間なんてどうでも良いのだ。

かく言う私も同じだ。こんなガキ共どうでも良い。ルナニアを見たい。

「しっかし、ルナ公どんな格好するんだろうな?まさか水着で登場とかしないよな?」

「水着って…それはもう公然猥褻だよ」

「何を今更。存在そのものが既に公然猥褻だよあいつは」

確かに。と思ってしまうのが悲しいところ。

さすがにルナニアも…クラス内でのポジションを守らなければならないだろうから、あまり突拍子もないことはしないと思うが…と。

考えていたそのとき。

「あっ!」

その姿を捉えるなり、シュノは嬉しそうな声を出した。

「ぶっ!」

そして、アリューシャは噴き出した。

面白かった訳ではない。度肝を抜かれたのだ。

…うん。その気持ちはよく分かる。

ステージに颯爽と現れたのは、黒い衣装を纏ったルナニアであった。
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