The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
先生に呼ばれて行ったものの、大した用事ではなかった。
会計、これで処理しておくけどもう一度確認してくれる?と。これを頼まれただけ。
その場で目を通し、これで大丈夫です、と提出した。
更に放課後、ステージの設営の為に使ったパイプ椅子や暗幕を倉庫に片付ける作業があったが、これも大した量ではなかったので、すぐに終わった。
「いやぁ、文化祭楽しかったですね、ユーシャさん」
「うん…そうね」
最後の片付けを終えて、俺達は家路についていた。
今日もいつも通り、彼女を駅まで送っていくつもりだった。
「どうなることかと思いましたけど…。無事に終わって良かったです」
「…うん」
「…何だか浮かない顔ですね。大丈夫ですか?疲れました?」
「あ、いや…そうじゃないの」
俯き気味のユーシャは、顔を上げて否定した。
「…実行委員の仕事、これで終わっちゃったなって」
「うん。そう…ですね」
文化祭が終わったら、文化祭実行委員の仕事も終わりだ。
それの何が不満なんだ?
「そしたらもう…こうやって、ルナニアさんと喋ることもなくなるんだなって…」
「そんな…。同じクラスじゃないですか。毎日会えますよ」
「ううん。ルナニアさんはいつも、ミルヴァーレン君とか、カルトヴェリア君とか…エルレアスさんみたいな、華やかな人達と一緒にいるから。私には入っていけない…」
ミルヴァーレンはエルスキー、カルトヴェリアはアシベル、エルレアスはミューリアのことだ。
名字で呼ぶと分かりづらいな。
「ルナニアさんが、折角…助けてくれたけど、私はまたきっと、いじめられるようになるわ。私は根暗で、地味な人間だもの。だから今回、あなたと一緒に文化祭の準備をして…凄く楽しかった。放課後に、あなたを独り占め出来るのも…私は」
ユーシャは涙ぐみながら、俺を見つめた。
「私…私は、ルナニアさんのこと好きなの。あなたにはユールシュルさんがいるんだって分かってるけど、分かってるけど…でも、お兄様以外の男の人を、好きになったのはあなたが初めてだから…」
ユールシュルさん、はハバナ、つまりカセイのことだが。
…どうやらこの女、俺が思っていたより、遥かに…。
「ごめんなさい。あなたを困らせたくなくて、ずっと言わなかったけど…。それでも、あなたが好きなの。これからも離れたくない。一緒にいたいよ…」
ユーシャは涙をぽろぽろと溢し、俺にそう訴えかけた。
…成程ねぇ。
ハバナがいると分かっていながら告白してくる。なんと厚顔無恥な女であることか。
しかし、好都合だ。
「…ユーシャさん…」
「ごめんなさい、こんなこと言ってあなたを困らせて…。ルナニアさんにはユールシュルさんがいるから、だから私は」
「良いんですよ」
俺はユーシャの言葉を遮り、彼女の手を取った。
「良い、って…?」
「自分の気持ちに…嘘はつけませんからね」
この女は、間違いなく最低だ。
だが俺も、負けないくらい最低の人間だからな。
俺はユーシャの手を優しく握って、その柔らかな髪の毛に口付けを落とした。
今ばかりは…解禁、だ。
「ルナニアさん、それって…」
「俺も、あなたのことが好きですよ」
その言葉を聞くなり、ユーシャの顔は喜びに染まった。
俺達のやっていることは、ハバナに対する裏切り行為も甚だしい。
けれども、俺は元々そういう人間だ。
常に数人の女に対して、愛の言葉を囁いている。
そしてその女達は、俺が二枚舌三枚舌を使っていることを…分かっていながらも。
それでも、俺に溺れるのだ。
会計、これで処理しておくけどもう一度確認してくれる?と。これを頼まれただけ。
その場で目を通し、これで大丈夫です、と提出した。
更に放課後、ステージの設営の為に使ったパイプ椅子や暗幕を倉庫に片付ける作業があったが、これも大した量ではなかったので、すぐに終わった。
「いやぁ、文化祭楽しかったですね、ユーシャさん」
「うん…そうね」
最後の片付けを終えて、俺達は家路についていた。
今日もいつも通り、彼女を駅まで送っていくつもりだった。
「どうなることかと思いましたけど…。無事に終わって良かったです」
「…うん」
「…何だか浮かない顔ですね。大丈夫ですか?疲れました?」
「あ、いや…そうじゃないの」
俯き気味のユーシャは、顔を上げて否定した。
「…実行委員の仕事、これで終わっちゃったなって」
「うん。そう…ですね」
文化祭が終わったら、文化祭実行委員の仕事も終わりだ。
それの何が不満なんだ?
「そしたらもう…こうやって、ルナニアさんと喋ることもなくなるんだなって…」
「そんな…。同じクラスじゃないですか。毎日会えますよ」
「ううん。ルナニアさんはいつも、ミルヴァーレン君とか、カルトヴェリア君とか…エルレアスさんみたいな、華やかな人達と一緒にいるから。私には入っていけない…」
ミルヴァーレンはエルスキー、カルトヴェリアはアシベル、エルレアスはミューリアのことだ。
名字で呼ぶと分かりづらいな。
「ルナニアさんが、折角…助けてくれたけど、私はまたきっと、いじめられるようになるわ。私は根暗で、地味な人間だもの。だから今回、あなたと一緒に文化祭の準備をして…凄く楽しかった。放課後に、あなたを独り占め出来るのも…私は」
ユーシャは涙ぐみながら、俺を見つめた。
「私…私は、ルナニアさんのこと好きなの。あなたにはユールシュルさんがいるんだって分かってるけど、分かってるけど…でも、お兄様以外の男の人を、好きになったのはあなたが初めてだから…」
ユールシュルさん、はハバナ、つまりカセイのことだが。
…どうやらこの女、俺が思っていたより、遥かに…。
「ごめんなさい。あなたを困らせたくなくて、ずっと言わなかったけど…。それでも、あなたが好きなの。これからも離れたくない。一緒にいたいよ…」
ユーシャは涙をぽろぽろと溢し、俺にそう訴えかけた。
…成程ねぇ。
ハバナがいると分かっていながら告白してくる。なんと厚顔無恥な女であることか。
しかし、好都合だ。
「…ユーシャさん…」
「ごめんなさい、こんなこと言ってあなたを困らせて…。ルナニアさんにはユールシュルさんがいるから、だから私は」
「良いんですよ」
俺はユーシャの言葉を遮り、彼女の手を取った。
「良い、って…?」
「自分の気持ちに…嘘はつけませんからね」
この女は、間違いなく最低だ。
だが俺も、負けないくらい最低の人間だからな。
俺はユーシャの手を優しく握って、その柔らかな髪の毛に口付けを落とした。
今ばかりは…解禁、だ。
「ルナニアさん、それって…」
「俺も、あなたのことが好きですよ」
その言葉を聞くなり、ユーシャの顔は喜びに染まった。
俺達のやっていることは、ハバナに対する裏切り行為も甚だしい。
けれども、俺は元々そういう人間だ。
常に数人の女に対して、愛の言葉を囁いている。
そしてその女達は、俺が二枚舌三枚舌を使っていることを…分かっていながらも。
それでも、俺に溺れるのだ。