The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
いくらなんでも似合い過ぎだろう。

「げほっ…えほっ」

あまりの衝撃写真に、噎せてしまったものだから。

オルタンスが不思議そうに首を傾げていた。

「何が送られてきたんだ?」

「いや…」

これを見せて良いものか…。見せたらどんな反応をするのか。

ここまでオーバーなリアクションをしておきながら、秘密です、とも言えないので。

すっ、とオルタンスにスマホの画面を見せる。ルレイアの完璧なる女装写真を見て、オルタンスは何と言うのか。

「…」

さすがの貫禄を見せる帝国騎士団長。俺のように噴き出したりはしない。

表情の一つも変えず、じっと写真を見つめていた。

そして、最初の一言。

「…これも、印刷して配布した方が良いか?」

「やめてやってくれ…」

劇的に似合うのは確かだが、奴にそんな趣味はないはずなんだ。

ゴスロリは好きだが、スカートを穿くのは嫌だと言っていたし。

一体何がどうなって、こんな格好をしてるんだ?あいつは。

前後の文脈が見えないから、何と言って良いのやら分からない。

何度も言うが、似合うのは確かだ。

「この格好で結婚式をするのか?」

「しねーよ…。あいつの言うことを真に受けるんじゃない」

「そうか」

結婚だの何だの、本気にしてるのはお前とルレイアだけだからな。

大体アイズも何だ。何が目の保養だ。

確かに…そこらの女の子よりは、可愛いかもしれないけどさ。

自分の魅せ方をよく理解している。この男は、ゴシック系の服を着ると色気が7割増しだな。

ルレイアが楽しそうだから良いが…ルナニアとしての役目も忘れるなよ。

「…ふぅ」

とりあえずスマホをしまう。こんなもの、印刷なんかしなくて良い。

世に出回ったら大変だ。

「…それで?お前は何の用件で来た?」

ルレイアの女装写真で有耶無耶になりかけていたが、オルタンスもただ暇潰しの為に訪ねてきた訳ではあるまい。

案の定オルタンスの用件は、先程のルレイアの女装写真を上回るほど…衝撃的なものだった。

「あぁ。あわよくばお前を…帝国騎士団に勧誘しようかと思ってな」

「…」

一瞬にして、俺の頭の中からルレイアの女装写真のことが消えた。





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