The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
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Ⅰ (23/39)
そのとき、俺は『青薔薇連合会』本部ビルの執務室で、机の上に伸びていた。
「む~…」
…暇、である。
俺の仕事は騙したり抱いたりたぶらかしたりがメインなので、その手の仕事がないときは基本的に、暇だ。
こんなときはどうするか。決まっている。
「…よし!ルルシーに会いに行こう」
そう思って立ち上がった、そのとき。
「ルレイア、いるか?」
会いに行こうと思っていたその人が、向こうから来てくれた。
ルルシーが、俺の執務室を訪ねてきた。
このときの俺が歓喜したことと言ったら。
「ルルシー!今あなたに会いに行こうと思っていたところなんですよ。あなたの方から来てくれるなんて!これは運命ですね?俺達はやっぱり以心伝心、相思相愛なんですね~!」
そう言って彼を抱擁しようとしたが。
「離れろ馬鹿。それどころじゃない」
ぐい、と身体を押された。酷い。
「ルルシ~」
そんなつれないことを、と俺は抗議の声をあげたが。
「ルルシー、じゃない。情けない声を出すな。それより仕事だ」
「え?ルルシーを落とすお仕事ですか?無給でもやりますけど」
「やめろ」
酷い。冗談なのに。
本気で嫌がられた。
まぁ、あれだから。ルルシーはツンデレだから。
素直になれないだけなのだ。そう思おう。
「それで、お仕事って?」
ルルシーと俺が組むなら、何であっても負ける気がしないが?
「アシュトーリアさんからの呼び出しだ。行くぞ」
「あ、そうなんですか。それは丁度良かった」
「…何が丁度良かったんだ?」
「アシュトーリアさんに話があったんですよ」
「…?」
思い当たることがないらしく、ルルシーは首を傾げていた。
その仕草がいとおしい。
「結婚するときは、伴侶の親に挨拶するのがマナーというものでしょう?」
「…」
ルルシーは、無言だった。
「…行くか」
「はーい」
そして、聞かなかったことにして、アシュトーリアさんの執務室に向かうことに決まった。
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