The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
で、それから一年ほどたって。
アリューシャはその頃、500メートルくらい先の的なら、コンスタントに撃ち抜けるようになっていた。
訓練の賜物である。
「なかなかやるようになったね、チビ公」
アリューシャの練習の様子を見ながら、シュスリーが言った。
実はその頃には、ちゃんと「シュシュリー」と呼べるようになっていたのだけど。
いつまでたっても、シュスリーはシュスリーのままだった。
その代わり、アリューシャはいつの間にか、名無しからチビ公にクラスチェンジしていた。
「おー。今なら北極点まで撃ち抜けるかもしれない」
軽口で返すと、シュスリーの声音がいきなり変わった。
「じゃ、本当に撃ってみる?」
「…は?」
振り向くと、そこには真剣そのものといった顔をしたシュスリーがいた。
シュスリーのそんな顔を見るのは初めてだった。
「何?北極行くの」
「さすがに北極は無理だけどさ。そろそろ…マフィアのスナイパーとして働いてもらおうかと思って」
「…」
あぁ、そういうことか。
シュスリーの言わんとすることは、すぐに分かった。
つまり、それは。
「人を殺せってことだね」
「そうだ」
忘れちゃならないが、『Sanctus Floralia』はマフィアなのである。
組織自体は小規模で、仕事と言えば、よその組織から頼まれた案件をこなすくらい。
血生臭いものがほとんどだ。要人の暗殺依頼とか。殺人事件の証拠隠滅とか。他組織の用心棒を頼まれたりとか。
シュスリー達が生業としているそれらの仕事を、アリューシャもそろそろやってみろと。
そしてアリューシャはスナイパー志望。スナイパーがやることと言ったら、大体相場は決まっている。
「今度の任務、チビ公にもついてきてもらう。まずは私の助手として働いてもらうよ」
「分かった」
アリューシャはガキだが、甘ったれた糞ガキではない。
自分のやるべきことは、きちんと弁えている。
そして、腐ってもマフィアなのだから…人を殺す覚悟くらいは、そのときにはもう、とっくに出来ていた。
アリューシャはその頃、500メートルくらい先の的なら、コンスタントに撃ち抜けるようになっていた。
訓練の賜物である。
「なかなかやるようになったね、チビ公」
アリューシャの練習の様子を見ながら、シュスリーが言った。
実はその頃には、ちゃんと「シュシュリー」と呼べるようになっていたのだけど。
いつまでたっても、シュスリーはシュスリーのままだった。
その代わり、アリューシャはいつの間にか、名無しからチビ公にクラスチェンジしていた。
「おー。今なら北極点まで撃ち抜けるかもしれない」
軽口で返すと、シュスリーの声音がいきなり変わった。
「じゃ、本当に撃ってみる?」
「…は?」
振り向くと、そこには真剣そのものといった顔をしたシュスリーがいた。
シュスリーのそんな顔を見るのは初めてだった。
「何?北極行くの」
「さすがに北極は無理だけどさ。そろそろ…マフィアのスナイパーとして働いてもらおうかと思って」
「…」
あぁ、そういうことか。
シュスリーの言わんとすることは、すぐに分かった。
つまり、それは。
「人を殺せってことだね」
「そうだ」
忘れちゃならないが、『Sanctus Floralia』はマフィアなのである。
組織自体は小規模で、仕事と言えば、よその組織から頼まれた案件をこなすくらい。
血生臭いものがほとんどだ。要人の暗殺依頼とか。殺人事件の証拠隠滅とか。他組織の用心棒を頼まれたりとか。
シュスリー達が生業としているそれらの仕事を、アリューシャもそろそろやってみろと。
そしてアリューシャはスナイパー志望。スナイパーがやることと言ったら、大体相場は決まっている。
「今度の任務、チビ公にもついてきてもらう。まずは私の助手として働いてもらうよ」
「分かった」
アリューシャはガキだが、甘ったれた糞ガキではない。
自分のやるべきことは、きちんと弁えている。
そして、腐ってもマフィアなのだから…人を殺す覚悟くらいは、そのときにはもう、とっくに出来ていた。