The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「そうか…。うん。まぁ殺すなら早くやってくれよ」

「…」

自分の人生の終わりが迫っているのに、どうしてこう、平然としていられるのか。

まるで過去の自分を見ているようだ。

「…君、名前は?」

「チビ公」

凄い返事が返ってきた。

「あだ名だよそれは」

「じゃあ、名無し君」

「…」

ふわぁ~、とあくびをするチビ公(仮)。

散々拷問して、苦しめて殺してやろうと思っていたのに…もういっそ弾丸一発で終わらせようかなと思えてくる。

だが、でも…この男を殺すのは。

「…アシュトーリアさんが、君に会いたいと言ってる」

「ふぇ?」

「上手く行けば殺されないかもしれないよ。頑張ってね」

ぽかんとしているアリューシャを置いて、私は拷問室を出た。

あの目。彼のあの目。そしてスナイパーとしての素質。

あれは…あれは本物だ。

拷問室を出てすぐ、私は真っ直ぐにアシュトーリアさんのもとに向かった。

「あら、アイズ…。どうしたの?あの捕虜の子はどうだった?」

「アシュトーリアさん。彼は…」

私は既に、彼が私の味方になることを確信していた。


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