The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
放課後。

俺達のグループは、教室の片隅に机を並べて集合した。

例の、討論会の準備の為だ。

おまけに、最悪なことに、俺のグループのメンバーと来たら。

「じゃ、まずはテーマから決めましょうか」

まず、当たり前のようにリーダー面をする、忌々しい馬鹿女のミューリア。

「何にする?周りと被らないのが良いよな」

同級生には爽やかな好青年のように見えるが、俺にとっては青臭いガキでしかないエルスキー。

「俺は何でも良いよ~。出来れば楽しそうなのが良い」

馬鹿過ぎてアストラエアに同情の念が沸いてくる、カルトヴェリア家末代までの恥、アシベル。

更に。

「ランドエルスの伝統行事に、楽しそうも何もないよ。真面目にやらなくちゃいけないんだからね」

頭の中墓石でも詰まってんじゃないかと思えるほど、かっちかちの頭をした馬鹿真面目のティモニー。

と、俺。

以上。俺達のグループのメンバーである。

うんざりするような顔触れだ。

せめてここにカセイでも加わっていればまだましだったのだが…。残念ながら、人数制限があって入れず。彼女はよそのグループに誘われていった。

それにしたって吐き気を催すパーティだ。

たまには違うメンバーとつるもうとは思わんかね。

けれども、これも仕方がない。ルナニアとしては、このメンバー以外には有り得ないからな。

ユーシャが行方不明扱いされている状況で、ただでさえ教室内に不信感が漂っている今。

目立つ行動をする訳にもいかない。

心の中で溜め息をつきながら、俺は真面目にグループに貢献することにした。

大人だからな、俺は。付き合ってやろうじゃないか。

「まずは、王家について調べるか、それとも帝国騎士団について調べるか、どちらにするか決めないと…」

「うーん…」

ベルガモット王家に関するテーマにするか、帝国騎士団に関するテーマにするか。

ぶっちゃけ俺はどっちでも良い。どっちに転んでも汚物の塊みたいなもんだ。

クズかカスかの違いくらいしかない。

「皆、どっちが良い?」

「俺はどっちでも良いけど…」

ミューリアが尋ね、エルスキーが答えた。

「俺もどっちでも良いですね」

エルスキーに次いで、俺はそう答えた。

どっちを選んでも不愉快なのだから、何でも良い。

簡単そうなテーマであれば。

「はい!俺は帝国騎士団が良いなぁ」

と、アシベル。

「何で帝国騎士団?」

「だって、叔父上はあんまり仕事のこと話してくれないんだもん。知りたいじゃん」

とのことである。

まぁ、そうだろうな。あの堅物を人間にしたような男のことだから、家の中で仕事の話など絶対にしないだろう。

そもそも帝国騎士には守秘義務があるから、家族といえども仕事の内容を軽々しく話す訳にはいかないのだ。

ましてやアシベルは、見るからに口が軽い男だ。

こんな男にうっかり秘密を話そうものなら、町内放送で堂々と喋ったも同然だ。

あっという間に周囲に広がってしまうことだろう。

そりゃアストラエアだって口を閉ざすというものだ。
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