The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
そして。

「やった~!出来た~!」

ようやくレポートが完成し、アシベルは嬉しそうに両手を上げた。

いや、お前大したことしてないじゃん。横から口挟んでただけ。

文章を作ったのはほとんど、ティモニーとミューリアだ。

こういうグループ作業って、どうしても決まった人だけが働いて、他の人は怠けてしまうことが多いんだよな。

適材適所と言えば聞こえは良いが。

俺に全部やらせてくれれば良いのに、それはさすがにルナニアとしては不味いからな。

「本当。どうなることかと思ったけど、無事に終わって良かったわ」

「あとは、これを討論会で発表するだけだな」

こんなお粗末なレポート、皆の前で発表するなんて鳥肌が立つけど。

幸か不幸か、ランドエルスの生徒は皆この程度のレベルだから、レポートだってどんぐりの背比べみたいなもの。

つまり、全員お粗末なレポートだから。俺達のグループだけ見劣りするなんてことはない。

良かったな。頭悪いのがばれなくて。

帝国騎士官学校だったら、指差して笑われていたところだぞ。

まぁ良い。やるべきことは無事に終わったのだから。

さっさと帰って、ゆっくりお風呂にでもはい、

「無事に終わったから、今度こそ皆でカラオケ行こうよ」

「お、良いねぇ。行くか」

…おのれ、アシベル。

余計なことを言いやがって。

「ルナニア、今日は行くでしょ?」

「…勿論。行きますよ」

笑顔でそう答えるしかない。スパイの悲しい責務。

「ティモニーも行こうよ」

「良いけど、僕は歌のレパートリーなんてないよ」

あ、カラオケで一番つまんないタイプの奴だ。

歌えよ、って進められても頑なに歌わない奴。

こんな奴らとカラオケなんて…サービス残業は趣味じゃないんだがな。

内心溜め息をつきながら、俺達は学校近くのカラオケ店に向かった。
< 302 / 561 >

この作品をシェア

pagetop