The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
ーーーーー数時間後。

討論会も無事に終わり、俺達は打ち上げと称して、放課後に学校近くのファミレスに集まっていた。



「いやぁ、大成功だったね」

「本当。やっぱり実際に取材させてもらったのが大きかったわね」

俺達のグループと、他のグループの違いはそこにあった。

他のグループは、アシベルのようなつてがないので、実際に帝国騎士の、しかも隊長に話を聞くなんてことは出来ない。

その点うちのグループはアシベルがいたから、比較的容易に帝国騎士団の隊長にコンタクトを取ることが出来た。

発表そのものについては、語ることはそんなにない。

俺はほとんどティモニーの付き添いのようなもので、レポートを読むのはティモニーの仕事だった。

「エルスキー、大丈夫?体調は」

「うん…。朝よりかはだいぶましになった」

無理して打ち上げまでついてこなくて良い、とは言ったのだが。

ちゃっかり参加してやがる。しかも朝より良くなっただと?

イラッとすることを平気で言うな。

「今回は本当、アシベルの功績ね。アシベルがいなかったら隊長さんに取材なんて出来なかったわ」

「えへんっ」

ミューリアに褒められて、アシベルはどや顔であった。

悪いけど、本当の功労者は、実はハバナなのだ。

リーヴァ達がわざわざ俺達に会ったのは、ランドエルスのスパイについての情報を探る為。

ランドエルスの生徒に探りを入れたかったからに過ぎない。

ハバナがいなければ、取材になんて応じなかっただろう。

従って、アシベルは全然功績も何もないのだが…。

…まぁ、黙っておいてやろう。

何せ俺は機嫌が良いのだ。ようやく…厄介な行事が終わったからな。

「しばらくずっと頭使ってたからね…。明日から、また剣の稽古を頑張らなきゃ」

「やだぁ。剣の稽古嫌い…」

「アシベル君。君は伯父上の名に恥じない帝国騎士にならなきゃいけないんだよ?そんなだらしないことでどうするんだ」

「うぅ…」

ティモニーに責められ、アシベルはがっくりと肩を落とした。

それを見て、エルスキーもミューリアも笑っていた。

勿論、俺も。

腹の中では、さっさと死んでしまえば良いのにと思っている相手でも、演技と思えば笑えるもんだな。
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