The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
今でも、忘れられない。

あの兄のせいで、私は男性を信じられなくなった。

どうしようもないほどに穢れ、マフィアに入ることになった。

マフィアに入ったことを後悔はしていないけど…でも。

今でも、街を歩いているときに、私と同じくらいの歳の女の子を見ると、少し…少しだけ、羨ましいと思ってしまう。

あの子達は、私が女として味わった苦しみを、何一つ知らずに…綺麗な世界を生きている。

そう思うと妬ましくもなった。どうして私はああなれなかったんだろう、と思った。

ルレイアに出会ってからは、そんな気持ちもかなり薄れたけれど…ルレイアに出会うまでは、街で女の子を見つける度、酷く嫉妬したものだった。

あの子達も不幸になれば良いのに、なんて…意地悪なこともよく考えた。

私がそんな歪んだ考えを起こすようになったのは、間違いなく…あの兄が原因だった。
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