The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
あの日のことは、今でも忘れられない。

夜、私の部屋にやって来た兄は、いつもと様子が違っていた。

いつもは、殴られるのが嫌で、兄の好きなようにさせていたけど。

その夜、私は激しく抵抗した。殴られようが、口を塞がれようが、今夜は絶対身体を触られては駄目だと思ったのだ。

けれど、私に何が出来ただろう。

兄は私より年上だった。まだ中学生ではあったけど、身体つきは大人の男と変わらない。

私は苛立った兄に酷く殴り付けられ、無理矢理身体を押さえ付けられた。

そして…。とうとう、思っていたことをやり遂げた。

ありとあらゆる激しい不快感が、私に容赦なく襲い掛かった。

身体中が痛くて、のし掛かってくる兄の身体が重くて、顔にかかる荒い息に鳥肌が立った。

汚なくて、気持ちが悪くて…何度も吐き気を催した。

殴られ過ぎて、抵抗どころか、もう悲鳴も出なかった。

永遠とも言える長い間、兄は私を犯し続けた。

身体の中におぞましい体液を吐き出されたとき、私は自分の心が、小さな音を立てて壊れるのを感じた。

可哀想なお姫様を、助けに来てくれる王子様なんて何処にもいない。

私は初めて、それを知った。

童話の世界なんて、空想の世界なんて、現実では何の意味もない。

私を守り、助けてくれる男の人なんて、この世の何処にもいないのだ。
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