The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
こうして、私は『青薔薇連合会』に所属し、この組織とアシュトーリアさんの為に働くようになった。

しばらくして、私は功績を認められ、幹部という役職に就かせてもらった。

アシュトーリアさんの役に立てるのが、心から嬉しかった。

自分の為ではなく、大好きな人の為に働く方が、ずっと頑張ろうと思えた。

こんなのは初めてだ。

まるで、自分が生まれ変わるような気分だった。

しかし。

変わらないこともあった。

私の男嫌いは、『青薔薇連合会』に入っても未だ健在であった。

マフィアという組織はどうしても、その性質上、女性より男性の方が多い。

『青薔薇連合会』もそう。首領であるアシュトーリアさんは女性だけど、構成員は男性の方が遥かに多かった。

幹部だって、私以外は全員男だった。

男だからって全員悪い人ばかりじゃないのよ、とアシュトーリアさんに諭されたこともある。

でも、駄目だった。

頭では分かっているのだ。男だからって、私が今まで会ってきた低俗な人間ばかりだとは限らない。

実際、幹部仲間であるアイズレンシアもアリューシャもルルシーも、悪い人ではなかった。

それは分かっている。背中を預けるに値する人達だと思っている。

けれど、心を許すことは出来なかった。

別に嫌っている訳じゃないのに、相手が男であると思うと、どうしても距離を置いてしまうのだ。

今思うと、アイズ達に対して、かなり酷い振る舞いをしてしまった。

今でこそ普通に遊んだりもしているけど、昔はまともに顔を見て話すことさえ少なかった。

それなのに彼らは優しかった。あの女、散々生意気な態度を取っていた癖に今更、と言われることもなかった。

あんなに優しい人達なのに、露骨に避けようとしていた過去の自分が恨めしい。

けれども私は…彼に出会わなければ、今でもずっと、男性を避けていただろう。

今の私を作ったのは、アシュトーリアさんと、そしてもう一人。

私の大好きな…あの人のお陰なのだ。
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