The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
彼に対する恋心を、自覚し始めたのはいつの頃からだっただろう。

恐らく、ハリネズミのルクレツィアちゃんを巡る一件があった頃だろうが。

ルーちゃんを引き取ったとき、私はどうしたら良いのか分からなかった。誰かに飼い方を教わらなくてはいけない。でも、誰に聞けば良いのか分からなかった。

迷って、思い付いたのが彼だった。

いきなりルーちゃんを連れて押し掛けて行ったのに、彼は驚きながらも、私よりはずっと冷静だった。

しかも、ルクレツィアという可愛い名前を提案してくれた。

ルーちゃんが病気になったときもそう。私は慌てふためいておろおろしているばかりだったけど、彼はすぐに私を安心させるように優しい言葉をかけてくれた。

その後すぐにルルシーが病院を予約してくれて、私は彼と一緒にルーちゃんを病院に連れていった。

私一人だったら、きっといつまでもおろおろしていただろう。

彼は私が今までで出会ったどんな男性よりも格好良くて、優しくて、気高くて、理知的で、そして強かった。

彼の心を捕らえているのが、帝国騎士団への憎しみと、そしてルルシーへの執着だということは分かっていた。

でも私は、彼に自分を見て欲しかった。

私を好いて欲しかった。可愛い、って言って欲しかった。

彼に抱き締めて欲しかった。あの忌まわしい記憶を、彼で塗り替えて欲しかった。

私が、こんな気持ちになれる日が来るなんて。

自分で認めるのは癪だった。けれど…私は間違いなく、ルレイアに恋をしていた。
< 339 / 561 >

この作品をシェア

pagetop