The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
ある日の放課後のこと。

「あぁ~…。もうすぐ試験だなぁ…」

「言うな、アシベル。思い出さないよいようにしてるのに」

「辛いですよね…」

だらしない男衆は、三人でげんなりとしていた。

まぁ、俺は全然辛くもなんともないのだが。

「あんた達、だらしないわねぇ」

そんな俺達を見て、ミューリアが呆れたように言った。

わざとだらしない風を装っているのだから、だらしないわねと言われるのは当然のことなのだが。

それでもイラッと来た。

「そんなに心配なら、稽古付き合ってあげましょうか?」

「だってミューリアさん強過ぎて、心折れるんだもん…」

俺達が一体、何の話をしているのか。

それを少しかいつまんで説明しよう。

ランドエルス騎士官学校では、もうすぐ試験が控えている。

だからこそ、俺達三人は憂鬱になっているのだ。

試験と言っても、お勉強の試験ではない。

今度は、剣術の試験だ。

一応ここ、騎士官学校だからな。

試験では、試験監督役の教官と一対一で手合わせをし、一定の評価を得られなかった場合、一ヶ月ほど放課後に補習訓練を受けさせられる。

その為現在ランドエルスでは、放課後に稽古場で居残り練習をしたり、友達同士で手合わせをしたりと、忙しくしている。

普段、教室の中では剣を持ち歩くのは禁止されているのだが…この期間だけは、各々使い慣れたマイ剣を持ち歩くことが許可されている。

それだけ、大事な試験という訳だ。

いつもはゆるゆるのランドエルスだが、この剣術の試験だけは、若干厳しめに採点されるので、余計に。

まぁ、それでも俺にとってはゆるゆるどころか、甘過ぎるにもほどがあると思っているが。

「真面目に稽古してないと落ちるわよ」

「それを言わないで~…」

実際、毎回クラスでも何人かが必ず落ちるからな。

何年か前、クラスメイトの三分の一が落とされたという先輩もいたらしい。

「やだよ~…。稽古したくない…」

だらけて机に突っ伏すアシベルを、ティモニーが目ざとく見つけ、つかつかと歩み寄ってきた。

「ちょっとアシベル君。君は貴族の人間なんだよ?そんなことでどうするの。むしろ率先して皆を稽古に誘うくらいでないと。伯父上に申し訳が立たないと思わないの?」

「うぅ…」

よく言った、ティモニー。お前の言う通りだ。

まぁ、お前も貴族の名前を背負ってるにしては雑魚だがな。
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