The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
校舎を出てから。

「助かりましたよ、カセイさん。放課後に居残りなんて俺もしたくなかったですからね」

「そんなことはどうでも良い」

「ですよね。じゃあ何処にデートしに行きます?俺の行きつけのホテルにでも?」

「ふざけるな」

冗談だっていうのに。全く可愛いげのない女だ。

「そっちこそ。誘うならもう少し上手く誘って欲しいもんですね。あんな糞真面目な顔をしてデートしましょうなんて、あいつらアホだから気づかないかもしれないけど、俺から見たら嘘だってすぐ分かりますよ」

「…」

そう言われるとは思わなかったようで、カセイは少しむっとしていた。

全く。Xはカセイにスパイ教育をちゃんと施したんだろうか。

まぁ、それはともかく。

「わざわざあんな下手な芝居を打って、俺を呼び出した訳を聞かせてもらいましょうか」

「…そろそろ潮時ではないか、と…そう言おうと思ったんだ」

「…ほう…」

もうじき言われるだろうなと思ってたよ。

遅かったくらいだ。

「潮時、とは?」

「惚けるな。我々が何故手を組んだのかを思い出せ」

「分かってますよ」

『青薔薇連合会』と『シュレディンガーの猫』が手を組んだ理由。それは言うまでもない。

帝国騎士団をぶちのめす為だ。

「我々も準備を進めている。そちらも…」

「えぇ、『連合会』の方も準備はしてます。ただ…時期を待った方が良いと思いましてね」

「時期?」

「実はもうすぐ、地方で帝国騎士団の大規模演習が予定されていると聞きましてね。帝国騎士の大半がその日に帝都から離れるんです」

これを聞いて、カセイは目の色が変わった。

さながら、餌を見つけた猫のようだ。

「その日を狙う、と?」

「ベタですけど、確実でしょう?奴らとまともにやり合ったら痛いじゃ済みませんからね。数が手薄なうちにさっさと乗っ取ってしまいましょう」

「…成程。鉄則だな」

…ちなみに。

俺も神妙な口調でもっともらしく言ってるが、全部嘘である。

涼しい顔して嘘つくの、これで大変なんだぞ。

「良いだろう。では、それまで待とう」

「えぇ、いずれにしても近々、決着をつけることになりそうですね」

これは真実である。

俺の二度目の学生生活も…そろそろおしまいだな。

反吐が出るような毎日だから、さっさと終わってもらいたいものだ。
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