The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
sideルレイア
前のページへ
Ⅰ (32/39)
ーーーーー…どうやらルルシーは、随分と俺のことを心配してくれているようだ。
その気持ちはとても嬉しいし、俺への愛故だなぁと思うと抱きつきたくなるけど。
俺だって、心配事があるのだ。
とても重要な心配事が。
「…ルルシー」
「何だ?」
「分かってるとは思いますけど、俺がいない間、浮気はしないでくださいね?」
「…」
絶対零度の眼光を向けると、ルルシーはぞっとしたように身をすくませた。
こればかりは、ちゃんと釘を刺しておかないとな。
いつぞやの、二週間のエロ旅行とは訳が違う。
最低でも半年、長ければ数年単位でルルシーから離れていなければならないのだ。
それだけあれば、奥手のルルシーでも愛人を作るには充分だ。
まぁ俺の手にかかったら、二時間もあれば愛人の一人や二人、軽く作れるのだけど。
とにかくルルシーが浮気をする可能性がある。
それはまぁ良い。許す。許しはしないが、その場合ルルシーが二度と他の人間に目移りしないように「お仕置き」すれば事は済む。
忌々しいのは、俺がいないのを良いことに、ルルシーに言い寄る愚か者が出てくるかもしれないこと。
これは穏やかではいられない。
「しねーよ…」
「本当ですね?浮気したらあなた…恐ろしい目に遭いますよ?」
「身に染みて分かってるよ」
以前のルルシー縁談事件を思い出したのか、ルルシーと、それからアリューシャも、ぶるっ、と身を震わせた。
「やべぇ。ルル公マジご愁傷様。アリューシャ関係なくて良かったわー」
「アリューシャお前、他人事だと思って」
しかし。
「アリューシャにも大いに関係ありますよ。あなたには、ルルシーの浮気管理責任者になって頂きます。もし俺がいない間にルルシーが浮気をしていたら、連帯責任であなたにも『お仕置き』が待ってますから」
「ルル公!!浮気すんなよ。絶対浮気すんなよ!!良いな!アリューシャの貞操が懸かってんだからな!!アイ公!ルル公に盗聴器をつけろ!ルル公の周囲に怪しい女が来たらアリューシャが全員狙撃する!!」
血眼のアリューシャ。
よしよし、これでルルシーの浮気対策は大丈夫そうだ。
「お前…アリューシャを巻き込むなよ…」
やべぇ、やべぇよ!アリューシャの貞操が!と喚きながら救いを求めてアイズレンシアにしがみつくアリューシャを横目に、ルルシーは力なくそう言った。
「だぁって。ルルシーに変な虫がついたら困るじゃないですか」
「つかねーよ…」
それなら良いのだけど。
「いっそルル公の背中に、『ルレ公に売却済み』って紙を常時貼っとく?」
「あ、それ良いですね」
「お前に売られた覚えはねーよ」
俺はルルシーを買った、つまり所有した覚えがあるのだけどなぁ。
それをするなら、俺の背中にも「ルルシーに売却済み」と書いておかないと。
悪くないなぁ、と思った。
次のページへ