The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
教室にいたクラスメイト全員が、驚いて彼女の方を向いた。
視線の先には、顔が真っ青になって、肩で荒い息をするカセイがいた。
「ど…どうしたの?ハバナさん…」
カセイの隣の席に座っていた女子生徒が、恐る恐る彼女に声をかけた。
しかし、カセイはそれを無視し、髪を振り乱してつかつかと俺の前に歩み寄った。
そして、俺が何かを言う前に、俺の胸ぐらを掴み上げた。
「どういうことだ!ルレイア・ティシェリー!」
あぁ、予想通り…随分とお怒りのようだな。
そうするだろうと思った。
まさかクラスメイトの前でこんな狂言を演じる羽目になるとは。
しかも、本名公開するのやめてくれないかな。
「はい。何のことですか?」
「惚けるな!何故…何故こんなことを!貴様、何を考えてる!」
いつもクールなハバナ・ユールシュルが、ここまで怒髪天突いて怒っているなんて。
クラスメイトは当然ぽかーん状態だし、決闘でも始まるのかと思われているに違いない。
実際、決闘みたいなもんだが。
「随分と連絡が来るのが遅かったみたいですね…。行かなくて良いんですか?今行ったら助かるかもしれませんよ?…お仲間の一人くらいは」
「…!」
『fallen traitors』の真の目的は、猫薔薇連合軍による帝国騎士団の殲滅ではない。
帝国騎士団が大規模演習を行うなんてのは真っ赤な嘘であり、その偽の演習が行われる前日に、本当の計画が行われる。
つまり…『青薔薇連合会』と帝国騎士団による連合軍が、『シュレディンガーの猫』のアジトを襲撃した訳だ。
『猫』の構成員は、明日を決戦の日だと思って控えていた。
そこを、一日前倒しで背中から撃たれた。
動揺と混乱で、まともに戦は出来なかっただろう。
おまけに。
『連合会』側の指揮官はシュノさんだが、帝国騎士団側の指揮官は、なんとオルタンスが御自ら出てきているそうだ。
忌々しいが、あの男が指揮をしているのなら、負けることはないだろう。
『シュレディンガーの猫』が気の毒でならない。
ルティス帝国の二大組織に手を組まれたのだ。
余所者の泥棒猫では、相手になるはずがない。
「言ったじゃないか…。信用して良いと。契約は守ると!あの言葉は嘘だったのか!」
「あはは…。あんな言葉、律儀に信じてたんですか?それはありがとうございます。でも、あなた…人のことは、言えないですよね?」
俺がそう言うと、明らかにカセイの目が泳いだ。
「…な、何を」
「惚けても無駄ですよ。ちゃんと聞いてますから…。裏切ろうとしたのは、あなた方も同じでしょう?」
ルルシーが、ちゃんと教えてくれた。
遡ること二週間ほど前。
カセイ・リーシュエンタールは『シュレディンガーの猫』の密使として、帝国騎士団にコンタクトを取った。
そしてそこで、彼女達、『シュレディンガーの猫』は。
『青薔薇連合会』を裏切って、帝国騎士団につこうとしたのだ。
視線の先には、顔が真っ青になって、肩で荒い息をするカセイがいた。
「ど…どうしたの?ハバナさん…」
カセイの隣の席に座っていた女子生徒が、恐る恐る彼女に声をかけた。
しかし、カセイはそれを無視し、髪を振り乱してつかつかと俺の前に歩み寄った。
そして、俺が何かを言う前に、俺の胸ぐらを掴み上げた。
「どういうことだ!ルレイア・ティシェリー!」
あぁ、予想通り…随分とお怒りのようだな。
そうするだろうと思った。
まさかクラスメイトの前でこんな狂言を演じる羽目になるとは。
しかも、本名公開するのやめてくれないかな。
「はい。何のことですか?」
「惚けるな!何故…何故こんなことを!貴様、何を考えてる!」
いつもクールなハバナ・ユールシュルが、ここまで怒髪天突いて怒っているなんて。
クラスメイトは当然ぽかーん状態だし、決闘でも始まるのかと思われているに違いない。
実際、決闘みたいなもんだが。
「随分と連絡が来るのが遅かったみたいですね…。行かなくて良いんですか?今行ったら助かるかもしれませんよ?…お仲間の一人くらいは」
「…!」
『fallen traitors』の真の目的は、猫薔薇連合軍による帝国騎士団の殲滅ではない。
帝国騎士団が大規模演習を行うなんてのは真っ赤な嘘であり、その偽の演習が行われる前日に、本当の計画が行われる。
つまり…『青薔薇連合会』と帝国騎士団による連合軍が、『シュレディンガーの猫』のアジトを襲撃した訳だ。
『猫』の構成員は、明日を決戦の日だと思って控えていた。
そこを、一日前倒しで背中から撃たれた。
動揺と混乱で、まともに戦は出来なかっただろう。
おまけに。
『連合会』側の指揮官はシュノさんだが、帝国騎士団側の指揮官は、なんとオルタンスが御自ら出てきているそうだ。
忌々しいが、あの男が指揮をしているのなら、負けることはないだろう。
『シュレディンガーの猫』が気の毒でならない。
ルティス帝国の二大組織に手を組まれたのだ。
余所者の泥棒猫では、相手になるはずがない。
「言ったじゃないか…。信用して良いと。契約は守ると!あの言葉は嘘だったのか!」
「あはは…。あんな言葉、律儀に信じてたんですか?それはありがとうございます。でも、あなた…人のことは、言えないですよね?」
俺がそう言うと、明らかにカセイの目が泳いだ。
「…な、何を」
「惚けても無駄ですよ。ちゃんと聞いてますから…。裏切ろうとしたのは、あなた方も同じでしょう?」
ルルシーが、ちゃんと教えてくれた。
遡ること二週間ほど前。
カセイ・リーシュエンタールは『シュレディンガーの猫』の密使として、帝国騎士団にコンタクトを取った。
そしてそこで、彼女達、『シュレディンガーの猫』は。
『青薔薇連合会』を裏切って、帝国騎士団につこうとしたのだ。