The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
Ⅺ
sideカセイ
ーーーーーー…私は一体、何から逃げているのだろう。
ランドエルス騎士官学校を抜け出して、私は一人、異国の街を行く宛もなく逃げ惑っていた。
何処に行けば良いんだろう。総帥のいるアジトは帝国騎士団と『青薔薇連合会』によって蹂躙されている。その現場に、私一人が向かったところで…屍が一つ増えるだけだ。
それでも私はアジトに向かうべきなんだろうか。犬死にする為に?
それに、アジトに戻ってよしんば総帥を助け出したとしても…どっちみち私は殺される。
私がルレイアに騙されたせいで。私の決断が、仲間を死地に追いやったのだ。
アジトに戻れば私は死ぬ。でも…戻らなくても、私が生き残れる道が何処にある?
ここはルティス帝国。私達にとっては異国であり、親類もいなければ国籍もない。
今までは、マフィアに所属することで生活していけたけど…。この件で、『シュレディンガーの猫』はもう壊滅したも同然だ。
帝国騎士団と『連合会』が『猫』の構成員を一人でも逃がすとは思えないし、投降したとしても、捕らわれて祖国に送り返されるだけだ。
マフィアという着ぐるみを脱げば、私達はただの不法入国者なのだから。
そして、祖国に戻ったらどうなる?
亡命などして祖国に迷惑をかけた大罪人として、間違いなく一人残らず公開処刑される。
私達の祖国は、そういう国だ。
誰にも捕まる訳にはいかない。
でも、身寄りもなければ国籍すらない不法入国者の私が、どうやってこの異国で生きていくんだ?
そもそも私は逃げられるのか?この国の二大組織である帝国騎士団と、『青薔薇連合会』を敵に回して、私一人が、鼠のようにこそこそと逃げられるものだろうか。
…無理だ。
どっちにしても私は死ぬ。誰かに捕まって殺される。
綺麗な死に方は出来ない。
「う…うぅ…」
知らないうちに、ぼろぼろと涙が溢れていた。
私は『シュレディンガーの猫』の仲間と、それから総帥を…私を拾ってくれた総帥を、この手にかけるようなことをしてしまった。
結局、私もあの人と同じだ。誰も救えず、何者にもなれないまま、あの人と同じように惨めに殺されようとしている。
私の目蓋の奥に、あの人の無惨な死体が蘇った。
ランドエルス騎士官学校を抜け出して、私は一人、異国の街を行く宛もなく逃げ惑っていた。
何処に行けば良いんだろう。総帥のいるアジトは帝国騎士団と『青薔薇連合会』によって蹂躙されている。その現場に、私一人が向かったところで…屍が一つ増えるだけだ。
それでも私はアジトに向かうべきなんだろうか。犬死にする為に?
それに、アジトに戻ってよしんば総帥を助け出したとしても…どっちみち私は殺される。
私がルレイアに騙されたせいで。私の決断が、仲間を死地に追いやったのだ。
アジトに戻れば私は死ぬ。でも…戻らなくても、私が生き残れる道が何処にある?
ここはルティス帝国。私達にとっては異国であり、親類もいなければ国籍もない。
今までは、マフィアに所属することで生活していけたけど…。この件で、『シュレディンガーの猫』はもう壊滅したも同然だ。
帝国騎士団と『連合会』が『猫』の構成員を一人でも逃がすとは思えないし、投降したとしても、捕らわれて祖国に送り返されるだけだ。
マフィアという着ぐるみを脱げば、私達はただの不法入国者なのだから。
そして、祖国に戻ったらどうなる?
亡命などして祖国に迷惑をかけた大罪人として、間違いなく一人残らず公開処刑される。
私達の祖国は、そういう国だ。
誰にも捕まる訳にはいかない。
でも、身寄りもなければ国籍すらない不法入国者の私が、どうやってこの異国で生きていくんだ?
そもそも私は逃げられるのか?この国の二大組織である帝国騎士団と、『青薔薇連合会』を敵に回して、私一人が、鼠のようにこそこそと逃げられるものだろうか。
…無理だ。
どっちにしても私は死ぬ。誰かに捕まって殺される。
綺麗な死に方は出来ない。
「う…うぅ…」
知らないうちに、ぼろぼろと涙が溢れていた。
私は『シュレディンガーの猫』の仲間と、それから総帥を…私を拾ってくれた総帥を、この手にかけるようなことをしてしまった。
結局、私もあの人と同じだ。誰も救えず、何者にもなれないまま、あの人と同じように惨めに殺されようとしている。
私の目蓋の奥に、あの人の無惨な死体が蘇った。