The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
生活は貧しかった。

うちだけに限った話ではない。あの国の国民は、皆貧しかった。

貧しくないのは、憲兵局の人間だけだった。

街に商店は少なかった。生活に必要なほとんど全てのものは、憲兵局から配られる配給券と引き換えに、現物を受け取っていた。

配給はいつも最低限で、それだけで食べていくのは大変だった。

どんなに頑張って仕事をしても、配給の量は変わらない。もらうものを選ぶことも出来ない。

厳しい生活だった。でも、不満を口にすることはほとんどなかった。

特に、学校では。

そんなことを一言でも言おうものなら、非国民だと非難された。

不満があっても口にしない。憲兵局に検挙されたくなければ、黙っていなければならなかった。

しかし、家の中ではそんな周囲の監視の目もない。

家に帰ると、ルーザは饒舌になった。彼は日常への不満を口にした。
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