The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
一体、どうしてルーザはあんな風に、はっきり言うようになったのだろう。

それは間違いなく、彼の父親に原因があったと思う。

彼の父親もまた、ルーザのように、家の中では不満を口にしていた。

初等教育の段階で、いかに自分らしさや個性を排除しようとしても…やはり人間である限り、生まれもった性格はある。

ルーザの父親は、支配や服従を良しとしない性格だった。

だから、せめてもの抵抗のつもりだったのか、家の中で不満を口にしていた。

今でも覚えているが、ルーザの両親は、悪い人ではなかった。

ルーザのお父さんはそんな風に、箱庭帝国の男子らしからぬ性格で、同時にとても親切な人だった。

そんなお父さんに感化されたのか、ルーザのお母さんも似たような性格だった。

だからこそ、遠い従姉妹の娘である私を、快く引き取ってくれたのだ。

私の部屋は屋根裏部屋だったけど、それは私が邪魔だったからではなく、家が狭くて、そこしかスペースがなかったからだ。

カセイだけ屋根裏でごめんね、と何度も言われた。

食べ物も乏しかったけど、少ない食料を分けるときは必ず、実子のルーザと同じぶんだけ分けてくれた。

そんな両親に育てられたからだろう。ルーザは幼い頃から、家の中では不満を我慢しなかった。外に出ればさすがに口をつぐんだが、家の中では自由に発言していた。

家の中で、不満を口にするくらいなら良い。

我慢だらけの生活の中で、少しでも不満を解消する為には、やむを得なかった。

しかし、やがてルーザは、家の外でも不満を口にするようになった。
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