The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
だが、その後全てが一転する。
先に亡くなったのは、ルーザのお母さんだった。
病気の為に亡くなったのではない。自殺だった。
私が家に帰ると、ルーザのお母さんは、首を吊って死んでいた。
彼女が死んだ理由は明白だった。
これ以上、自分がお荷物にならない為だった。
私はお母さんのその死体を見たとき、ショックを受けながらも、心の何処かでほっとしていた。
自分で自分の醜さに吐き気がする。でも…この国で、働けない彼女を養うことは本当に大変なことだったのだ。
お互い口には出さなかったが、ルーザも同じことを感じていたはずだ。
私達は帝国の慣習に従って、お母さんの死体を海に沈めた。
小さなこの国では、墓場を作るような余分な土地はなかったから。
私達は悲しくて泣いたが、近所の人は同情はしてくれなかった。ようやく厄介なお荷物がいなくなって良かったね、とでも言いたそうだった。
お母さんが亡くなった後、次はお父さんだった。
ある日いきなり、家の中に憲兵局の人間が立ち入った。
あのとき、私がどれほど驚いたか。
あんなに間近に憲兵局の局員を見るのは初めてだった。
そして局員は、何の説明もせずに家の中を土足で踏み荒し、ルーザのお父さんに乱暴に手錠をかけた。
いきなり何をするのだと、声をあげようとするルーザを、私は必死で抑えた。
憲兵局に逆らえば、ルーザまで捕まってしまう。
そのときの私は、ルーザのお父さんが何か罪を犯したなんて思っていなかった。
何かの間違いでルーザのお父さんが悪いことにされて、捕まってしまったんだ。
ちゃんと調べれば、あの人が無罪であることはすぐに分かる。
無罪と分かれば、解放してくれる。
私はそう思っていた。実際、あの国ではそういうことがしばしばあったから。
ここは憲兵局の好きにさせておくべきだ。下手なことをしてルーザまで捕まったら、私は一人ぼっちになる。
ルーザのお父さんだって、自分のせいで息子まで捕まったとなれば、心を痛めるに決まっている。
だが。
ルーザのお父さんは抵抗せずに手錠をかけられ、私達の方を見て、優しく微笑んだ。
まるで、自分の運命を分かっているかのような笑顔だった。
先に亡くなったのは、ルーザのお母さんだった。
病気の為に亡くなったのではない。自殺だった。
私が家に帰ると、ルーザのお母さんは、首を吊って死んでいた。
彼女が死んだ理由は明白だった。
これ以上、自分がお荷物にならない為だった。
私はお母さんのその死体を見たとき、ショックを受けながらも、心の何処かでほっとしていた。
自分で自分の醜さに吐き気がする。でも…この国で、働けない彼女を養うことは本当に大変なことだったのだ。
お互い口には出さなかったが、ルーザも同じことを感じていたはずだ。
私達は帝国の慣習に従って、お母さんの死体を海に沈めた。
小さなこの国では、墓場を作るような余分な土地はなかったから。
私達は悲しくて泣いたが、近所の人は同情はしてくれなかった。ようやく厄介なお荷物がいなくなって良かったね、とでも言いたそうだった。
お母さんが亡くなった後、次はお父さんだった。
ある日いきなり、家の中に憲兵局の人間が立ち入った。
あのとき、私がどれほど驚いたか。
あんなに間近に憲兵局の局員を見るのは初めてだった。
そして局員は、何の説明もせずに家の中を土足で踏み荒し、ルーザのお父さんに乱暴に手錠をかけた。
いきなり何をするのだと、声をあげようとするルーザを、私は必死で抑えた。
憲兵局に逆らえば、ルーザまで捕まってしまう。
そのときの私は、ルーザのお父さんが何か罪を犯したなんて思っていなかった。
何かの間違いでルーザのお父さんが悪いことにされて、捕まってしまったんだ。
ちゃんと調べれば、あの人が無罪であることはすぐに分かる。
無罪と分かれば、解放してくれる。
私はそう思っていた。実際、あの国ではそういうことがしばしばあったから。
ここは憲兵局の好きにさせておくべきだ。下手なことをしてルーザまで捕まったら、私は一人ぼっちになる。
ルーザのお父さんだって、自分のせいで息子まで捕まったとなれば、心を痛めるに決まっている。
だが。
ルーザのお父さんは抵抗せずに手錠をかけられ、私達の方を見て、優しく微笑んだ。
まるで、自分の運命を分かっているかのような笑顔だった。