The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
どうやら、まだビジョンが出来てはいないようだ。

「マフィアは憲兵局を倒す手伝いはしてくれないの?」

「マフィアは確かに憲兵局を嫌ってはいる。奴らのやり方も良く思っていないようだ。でも…憲兵局の力は強大だ。そう簡単には覆せない」

「…」

憲兵局が絶大な権力と軍事力を持っていることは、言うまでもない。

マフィアであっても、簡単には倒せない。

だからこそ、彼らは人民を支配出来ているのだ。

「もっと仲間を増やさなくちゃ…。カセイが結婚させられる前には」

ルーザは焦っていた。その期限があるから。

18歳になったら…私達は強制的に結婚させられる。

残り三年足らず。そのうちに…現状を打開しなければ。

「…大丈夫よ、ルーザ」

私は彼を励ますように言った。

「誰と結婚させられても良いわ。だって自由になったら、結婚相手も好きに選べるようになるんでしょう?18歳に間に合わなくても良い。焦らないで」

「…カセイ…」

違う人と結婚させられても、自由になったら、その人と別れてルーザと結婚出来る。

何年かかるかは分からないけど。

私は、それまでずっと待っているつもりだった。

ルーザの為だと思うと、待つことも苦ではない。

「いつまでも待ってるわ。あなたが自由にしてくれる日まで」

私は彼が自由にしてくれる日が来ると信じていた。

だって、ルーザは何も間違ったことは言ってない。

彼は正しい。正しいことを為そうとしている人なのだから。

その正しさが、いつかこの国を変えてくれる。

皆いつか、ルーザが正しいことを言っているのだと気づく。

悪は必ず滅ぼされる。正義は必ず最後に勝つ。

私はそう思い込んでいた。

そう…思い込みたかったのかもしれない。

だって、そうでなければ私達が結ばれることはないから。






でも。






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