The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
お互いに武器を突きつけ合ったまま、俺達は互いを睨み付けていた。

先に動いたのは、女幹部の方だった。

放たれた弾丸を、俺は日本刀で弾き飛ばした。

甲高い音がして、シトウがまた悲鳴をあげた。

「ひっ…嫌ぁぁぁぁ!死にたくない!」

シトウは錯乱したらしく、叫びながら部屋の出口に向かって走った。

だが、女幹部はその隙を見逃さなかった。

弾丸に身体を貫かれ、シトウは床に倒れた。

弾は確実に急所を撃ち抜いていた。

シトウの死体を見ても、俺は表情を変えなかった。

「…女」

代わりに、俺はその女幹部にこう尋ねた。

「…何」

「お前…思い人はいるのか」

「は…ぁ?」

意表を突かれたようなその表情だけで、返事が分かった。

「…そうか。実は…俺も同じなんだ」

「…何を言ってる」

「死んで…会いに行こうと思う」

生きているのなら、それで良いが。

もし死んでいるのなら、先に向こうで…。

「…まぁ、待ってはいないだろうがな」

せめて、この女の首を手土産に持っていきたいものだ。

そうすれば彼女も少しは…俺という人間に、興味を持ってくれるかもしれない。

俺は日本刀を構え直し、女幹部に向かって突進した。

「くっ…」

相手の武器は拳銃。超至近距離に接近されれば、戦いにくかろう。

彼女は顔を歪めて、一歩、二歩と下がった。

このまま押し切れば、と思った、そのときだった。

押されているはずの女幹部が、勝利を確信した目で俺を見た。

何故、そんな目をする?

…危機を感じたときには、既に手遅れだった。




窓が、ぴかっ、と光った。

耳をつんざくような破裂音と、一瞬遅れて、背中に凄まじい衝撃が走った。



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