The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
『青薔薇連合会』と帝国騎士団の共同戦線により、『シュレディンガーの猫』は壊滅した。

残党はまだ国内にいるだろうが、俺達に歯向かえるほどの力はないだろう。

ほとんどの構成員はXが死んだことを知って、後を追って自決した。

逃げたとしても、国籍も持たず、身寄りもない彼らが生きていく術はなかろう。

残党の追跡は帝国騎士団が対応することとして話をつけ、両者の協力関係は解消された。

そして、人質役だった俺も無事に帰ってこれた訳だ。

ずっと帝国騎士団で退屈な毎日を過ごしていたから、仲間のもとに戻ってきて、今は生き返ったような気分だ。

ルレイアも、長い間ランドエルスで学生生活をやらされて、疲れているんじゃないかと思ったが。

帰ってくると意外に元気そうで…と言うか元気過ぎて…まぁ、良かった。

「じゃあルル公、今日はあれ作って!チーズとカルビって奴!アリューシャあれ食べてみたい」

で、何でアリューシャまで飯をたかろうとしてるんだ?

チーズと…カルビ?

「チーズタッカルビって奴でしょ?」

「そう!それそれ」

アイズはよくアリューシャが何言ってるのか分かるな。

「俺久々に、ルルシーのチキンサルサ食べたいです」

「良いねぇルルサルサ!いつ食べても美味いよなぁ」

「ルルシー。私は野菜たっぷりのラタトゥイユを所望するよ」

何で段々増えてるの?

ルレイアを招くつもりはあっても、アイズとアリューシャまで招くつもりは…。

「任せて、ルルシー。私、フライドポテト作れるようになったの。私も作るわ」

シュノはシュノで、何やら意気込んでるし。

良い子だなぁ、シュノは。ルレイア以下二人は少しくらいシュノを見習ってくれ。

「何で俺がそんなことを…」

人質になっていた頃出来なかった仕事が立て込んでるから、余計な時間はないのだが?

「良いだろそのくらい!今回の作戦で、アリューシャは地平線の彼方からXを撃ち抜いた!シュー公は現場を指揮した!アイ公はオペレーターをやった!ルレ公は軍師をやった!そしてルルシー、お前は何をやったんだ!?」

「ぐっ…それは」

「それを思ったら、サルサとチーカルビくらい作ってくれても良いだろ!」

「お前…卑怯だぞ」

それを言われたら、断ろうにも断れないじゃないか。

「ルルシーは人質を頑張りましたよ。ねぇ?」

ルレイアのそれはフォローにはなっていない。

別に…人質を頑張った訳じゃないよ。

「…分かったよ」

まぁ、俺もしばらく作ってなかったし。

久々に、五人で夕食を楽しむのも良かろう。

「わーい、ルルシー。大好き」

ルレイアは嬉しそうに、俺にくっついた。

くっつくんじゃねぇ、と言いたいのだが。

…まぁ、今日くらいは良いか、と思ってしまうのだから…俺も甘いな。
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