The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
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Ⅰ (37/39)
「俺は大丈夫ですよ、ルルシー。そんなに心配しなくても」
って、もう何回言ったことか。
ルルシーの心配性は、いつまでたっても直らない。
「大丈夫、大丈夫ってお前な。お前は何でも大丈夫ばかり言って…」
「だって、本当に大丈夫なんですから」
他に何て言おう。案ずるな!とか?
案ずるなって言っても、案じてくれるのだろうなぁ。ルルシーは。
「確かにあの頃のことは…思い出したくない記憶ではありますけどね。でも、思い出して不快になることはあっても、いちいち傷ついたりはしませんよ」
「…本当に?」
「えぇ。本当にです。何より…」
俺はルルシーの手を、そっと握った。
「あなたがいてくれるから。どんなに離れていても、あなたが俺の心の中にいてくれるから、それが俺の、無限の力になるんです」
「…」
「俺はもう…あの頃とは違いますよ」
見た目も、中身も。完全に別物だ。
誰にも俺を傷つけることなんて出来ない。それがルルシーでない限りは。
あ、でも…シュノさん達に悪口とか言われると、やっぱり傷つくかな。
シュノさん達に悪口なんて言われないけど。
「だから安心して、送り出してくださいよ。ルルシー」
「…本当に気を付けろよ。それと…もし何か…しんどいことがあったら、俺に言うって約束しろ。すぐに行くから。何があってもすぐに会いに行くから」
「わぁ素敵。ルルシーは俺のヒーローですね」
惚れてしまいそうだ。いや、もう惚れてるけど。
「茶化すなよ」
「茶化してなんかいませんよ。分かりました。お約束します」
相も変わらず。何年たってもルルシーは。
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