The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
翌日。

俺達は約束の時間に、アシュトーリアさんのもとを訪ねていた。




「美味しい?久し振りに皆が揃うからと思って、今帝都で有名になってるケーキ屋さんのケーキを買ってきたの」

「えぇ。美味しいですよ」

大の大人がティーパーティなんて、とルルシーは思っていそうだが。

俺は嫌いじゃない。むしろ楽しい。

ケーキもなかなか美味しい。以前ほど甘いもの好きではなくなったけど。

見てみろ。シュノさんなんか、目がきらきらしてる。美味しいんだろうな。

「皆怪我なく戻ってきてくれて何よりだわ。本当に寂しかったのよ」

「済みません、アシュトーリアさん」

「しばらくは本部にいてちょうだいね」

勿論、そのつもりだ。

「しっかし、結局全部ルレ公の計画通りになったんだよなぁ」

ケーキの上に乗ったいちごを齧りながら、アリューシャが呟いた。

「確かにね。最初に計画の全貌を聞いたときは、どうなるかと思ったけど…上手く行って良かったよ」

「ルレイアの計画だもの。私は上手く行くと信じてたわ」

アイズと、シュノさんが言った。

確かに考えてみれば、ほとんど計画から外れることもなく、全部上手く行ったんだよな。

「皆ルレ公の手のひらの上か…。怖っ」

「うふふ。ルレイアは頼もしいわね。『青薔薇連合会』の大事な参謀だわ」

「ありがとうございます」

今回の件は本当に大変だったから、当分はやりたくないけど。

これだけ感謝されると、嫌な気はしない。

「ルレイアを敵に回すとろくなことにならないって、改めて思い知らされたよ」

「失礼な~。人をまるで狂犬みたいに~」

「お前はどっちかと言うと、化け物だろ」

「いやいやルル公、こいつはフェロモン噴霧器。歩くバイオテロだ」

あっ、アリューシャがまた失礼なことを。

「そうだったんですけどね、長く学生生活してたせいでフェロモンの調子がいまいち…。ちょっと『リハビリ』に付き合ってもらえませんか?アリューシャ」

艶っぽく囁くと、アリューシャの顔が真っ青になった。

うーん。これでもやっぱりちょっと、フェロモンの調子がいまいち。

「ひぇっ。助けてアイ公!アリューシャの貞操が!」

「だから、君はルレイアを煽るのをやめなって」

「本当学習しないな、アリューシャは…」

「ルレイア、私で良ければ何でも付き合うわ」

「ありがとう、シュノさん」

そんな俺達のやり取りを、アシュトーリアさんは、微笑ましいわね~とでも言いたそうににこにこと見つめていた。

あぁ、日常に帰ってきた。

やっぱりこの場所が、俺のいるべき場所なのだ。

そこが例え、黒い闇の底なのだとしても。
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