The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
ルレイアの執務室にノックもせずに入ると、ルレイアはぐでん、とデスクに突っ伏し、ぽちぽちとスマホを弄っていた。

俺の姿を見るなり、ルレイアは条件反射のように飛び上がった。

「ルルシー!俺に会いに来てくれたんですね!これは愛?愛ですよね?」

おい。見たぞ。お前仕事サボってただろ。

「仕事しろよお前」

「してましたよ?」

「スマホポチってただろ」

「あぁ、これキープ用のスマホですから。会いはしないけど適度に飴を与えておこうと思って」

あぁ…なんだ。ハーレムの会員とメールしてたのか。

このルレイア、「利用価値のある女」、「利用価値はほぼないけどキープしておく女」、「用済みの女」で連絡先を分け、何台も携帯を使い分けているのだ。

恐ろしい男だ。

いや、それより。

「ルレイア、お前に聞きたいことがある」

「はい!何ですかルルシー。俺はルルシーの質問なら何でも答え、」

「俺とお前が結婚したという偽情報が組織の間に広まってる。何か心当たりは?」

「…」

ルレイアは固まった。

無言で固まり、そして、窓の外を眺めた。

「…今日の空は綺麗ですねぇ、ルルシー」

「おい」

誰が天気の話をした。

「今晩はルルシーの中華料理が食べたいな~。アリューシャやアイズも呼んでおきますね」

「勝手に呼ぶな。あとはぐらかすんじゃない!」

「ルルシーの~♪麻婆豆腐~♪」

歌って誤魔化そうとするな。ってか何だ。麻婆豆腐作れってか?

この反応を見る限り、やはり犯人はこいつで間違いないな。

くそ…。こうなったら、俺の持てる権限の全てを駆使して、その情報は嘘っぱちであると広めるしかないようだな。

…それと、せめてもの抵抗だ。今夜の麻婆豆腐は…激辛にしてやる。

アリューシャは喚くだろうが、知ったことではない。
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