The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
リビングのソファで横になって、30分ほどたった頃だった。



俺はベッドだろうとソファだろうと眠れるタチなので、30分もあれば夢の中であった。

しかし。

誰かが、俺のほっぺたをぎゅっ、とつねった。

相当強い力でつねられたので、激痛で目が覚めた。

「…ふぐっ!?」

「…」

目をちかちかさせながら飛び起きると、険しい顔のフューニャが魔王のようにそこに立っていた。

「な…何か?」

寝てただけなんだけど、また何か怒らせたかと?

俺は、何か対応を間違えたのだろうか。

「フューニャ…?」

「…何をやってるんです、あなたは」

えっ?

な、何をって…。

「…寝てました」

「…寝て良いと思ってるんですか?」

「…え?俺、寝ちゃ駄目なの…?」

あ、起きて反省してろと?廊下の雑巾がけでもしてろと?

そういうことだったのか?

「あなたの目は節穴ですか」

「…はい…?」

ちょっと…あの。

フューニャの怒る原因が分からない。

スナックに行ったことに怒ってるのは分かるのだが…。

今怒ってるのは…多分それではない。

「あの…。何に怒ってるの?」

「何に…?夫が帰ってくるのを健気に待ち続け、夫に気づいて欲しくてちょっと背伸びしたナイトウェアを着て、ドキドキしながらベッドで待っている妻を差し置いて、先に一人で夢の中とは…。良い度胸ですね」

「…??」

な…え?

はい?

「…よく分からないけど、一緒に寝て良いの?」

「期待する妻を無視して一人で寝るなんて、あなたは鬼ですか。それともEDですか」

「EDじゃねぇよ…」

その、妙にセクシーなナイトウェアは…お誘いを待ってますよ~という…そういう意味だったのか。

普通にスルーして寝てしまった。

いや…俺も一応男だから、そそられるものがなかった訳ではないが…。スナックの件で怒らせてしまったから、下手に誘おうとしたら、「こんなときによくそんなことが出来ますね」なんて、更に怒らせてしまいそうで…。

この場合、多少強引にでも…事に及んだ方が良かったらしい。

…女って、分からん。

フューニャが特殊ケースなのかもしれないが…。

…とにかく、一緒に寝させてもらえるなら良かった。
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