The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
フューニャの為に、買ってきたばかりの紅茶を淹れてやり。

ケーキを皿に三つ乗せて、フューニャに出した。

「ルヴィアさんはどれを食べるんですか?」

「ん?いや…。俺は要らないから、フューニャが一人で食べて良いよ」

フューニャへの詫びのつもりで買ってきたのだから。

しかしそう言うと、フューニャはむっ、としたような顔をした。

あっ、やばい?

「可愛い妻にケーキを三つも食べさせて太らせようなんて、そうは行きません」

フューニャはそう言って、俺にもケーキを食べるよう命令した。

俺も食べるのか…まぁ良いけど。

「フューニャはどれが良いんだ?」

フューニャが一番要らないものを俺がもらうつもりだった。

「チョコと…チーズケーキです」

「じゃあ俺がショートケーキだな」

一番スタンダードなものが回ってきたな。

まぁ、俺は何でも良いから。

フューニャは嬉しそうにケーキにフォークを入れ、もくもく食べ始めた。

…可愛い。

ケーキ好きなんだな、フューニャ…。また今度買ってこよう。

ご機嫌取りのつもりはない。純粋に、喜んでもらいたいだけだ。

「美味しいか?フューニャ」

フューニャはこくり、と頷いた。やっぱり可愛い。

喜んでくれて良かった…と思いながら、俺もケーキを口に運ぶ。

うん。なかなか。

長らく不機嫌だったフューニャが、ようやく機嫌を直してくれたことに安堵である。

「…」

「…?どうした」

ふと気がつくと、フューニャが俺のケーキをじっと見つめていた。

「…欲しいか?」

食べかけだけど…。フューニャが欲しいならあげるつもりだが。

「…いちご」

は?

「可愛い妻に、いちごをあーんして食べさせてください」

「あぁ…成程」

ショートケーキから上に乗ってるいちごを取ったら、主役がいなくなったも同然だが。

フューニャが喜ぶのなら、いちごの一粒くらい。

俺はフォークにいちごを刺して、フューニャに食べさせてやった。

ふにゃんとした顔で幸せそうにいちごを齧るフューニャがとても可愛いので、俺も満足である。
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