The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

sideルヴィア

ーーーーー…その日の夜。



俺は帰り道で花束を買い、それを手土産に帰宅した。

帰りながら、俺はずっとフューニャのことを考えていた。

フューニャは今頃どうしているだろう。少しは機嫌を直しただろうか?

汚らわしいと思ったろうな。本人もそう言ってたし…。本当に申し訳ないことをしてしまった。

花束くらいで機嫌を直してくれるのだろうか。

ケーキの方が良かったかな…。それとも、物で釣るのではなく、誠心誠意謝罪を繰り返した方が良いのだろうか?

あぁ…愚かな自分をぶん殴りたい。

あんなエロ本…フューニャを前にしたら、ただの古雑誌も同然なのに。

捨てるのを忘れていたが為に、こんなことに…。

憂鬱な気持ちで家に向かい、自宅の扉の前で、俺は一つ深呼吸した。

フューニャ、迎えに出てくれるかな?

「フューニャ…。ただいま」

玄関に入る。いつもなら、音を聞き付けててこてこと寄ってくるのだが…。

今日はさすがに駄目かな…と思っていたら。

ちょこん、とフューニャが柱の影から姿を表した。

「ふゅ…は!?」

俺はその姿に、目が点になった。

「お帰りなさい、ご主人様」

フューニャは際どい上目遣いで、俺をそう言って出迎えた。

「どっ…どうした?」

フューニャは、長い髪を二つに結わえ、カチューシャをつけていた。

驚いたのは、その衣装。

太股丈の黒のワンピース。白いエプロン。

それは所謂…メイド服と呼ばれるものだ。

フューニャは髪をツインテールにして、メイド服に身を包んでいた。

その姿は、フューニャが昨日見ていた俺のエロ本に出てきた女の子そっくりであった。

「ご主人様、そのお花は何ですか?」

「え?あ…。これ…お詫びに、と思って…」

花。そう、俺花束買ってたんだった。

フューニャの衝撃的な姿に度肝を抜かれてしまっていた。

「あの…昨日はごめんな、フューニャ」

俺は再度そう謝って、フューニャに花束を渡した。

「ありがとうございます、ご主人様」

フューニャは嬉しそうに花束を受け取った。

花束を…受け取ってくれたのは有り難いのだが。

「その…格好は、どうしたんだ…?」

「妻として、夫の性癖に合わせようと思いまして」

せっ…性癖って。

俺は別に…メイド服ツインテールじゃないと興奮しない訳じゃないのだが?

「これだとやる気が出るでしょう?」

「…フューニャはいつでも、どんな格好でも可愛いよ…」

ツインテールじゃなくても。メイド服着てなくても。

俺にとっては、フューニャが一番だ。

そっと抱き締めると、フューニャは嫌がらなかった。

うちの嫁、こんなに可愛くて良いのだろうか。

彼女がいてくれる限り、俺がエロ本のお世話になることは一度としてなかろう。
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