The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
その日、俺は仕事の用件で、ルヴィアを執務室に呼んだ。
優秀なルヴィアは、呼ばれるなりすぐに駆けつけてきた。
「お呼びですか、ルルシーさん」
「あ、ルヴィア…。悪いな、忙しいところ呼びつけて」
「いえ。お気になさらず」
「そこに掛けてくれ。話があるんだ」
「はい」
ルヴィアをソファに座らせ、自分も正面に座る。
すると、また仕事をサボって俺の部屋に遊びに来ていたルレイアまでもが、何故か俺の横にちょこんと座ってきた。
お前は自分の部屋に帰って仕事をしろ。
「済まんな、ルヴィア…。このアホのことは気にしないでくれ」
「あ、はぁ…」
「うふふ。ルルシーあるところに俺あり~♪」
放っとけ放っとけ。こんなアホは。
いない者として扱おう。
「それで、話というのは?」
「実はな、来週から二~三週間ほど、『青薔薇連合会』のアシスファルト支部に出張に行って欲しいんだ」
「…アシスファルト支部に出張…ですか」
「あぁ」
記憶に懐かしい、『青薔薇連合会』アシスファルト支部。
以前アイズレンシアが酷い目に遭わされた、あの不愉快な事件が起きた場所である。
あれ以降、ルレイアがたらし込んだウィンクロース家の女主人の助力と、国内の有力組織であった『SiV』の消滅により、『連合会』アシスファルト支部はめきめきと力をつけ、今ではその立場を不動のものとした。
その結果、今回我々は新しい試みに踏み切った。
「アシスファルトに『連合会』の第二支部が出来ることは聞いてるよな?」
「えぇ。勿論です」
アシスファルト帝国の『連合会』支部は、力をつけるにつれて、従来の規模では間に合わなくなってきた。
その為、更にもう一つアシスファルトに『連合会』の支部を増やそう、という計画が打ち出された。
ウィンクロース家の全面的なバックアップもあり、特に滞りなく計画は進み、つい最近第二支部の拠点が完成し、既に本部から選ばれた構成員が、予定通り向こうに赴任した。
「うふ。俺がシャリヤを落としたお陰ですよ~。ね、ルルシー。俺偉いですよね?」
ルレイアが、褒めて、と言わんばかりに俺にくっついてきた。
「はいはい、偉い偉い」
軽く頭を撫でてやると、ルレイアは満足げであった。
ったく…。恩着せがましいことこの上ないが、確かに今回の計画は、ルレイアがいたからこそ出来たことだ。
ウィンクロース家の助力がなければ不可能だった。つまりは、そのウィンクロース家の女主人を落としたルレイアのお陰なのだ。
末恐ろしい男だ…と思っていると。
ルヴィアが、おずおずと質問を口にした。
「しかし…。第二支部の計画は、支障なく進んでいるんじゃなかったんですか?何故俺が派遣されるんです?」
「ん?あぁ…。上手く行ってたんだ、つい最近まではな」
第二支部の話に戻ろう。
支部のアジトは完成し、向こうで働く人間も赴任し、本格的に始動したのが先月のこと。
しかし、ここで問題が起きた。
「どうも、下級構成員の伝達ミスで向こうの関連企業とトラブったらしくてな。活動開始早々、大混乱だったらしい」
「そうだったんですか」
ルヴィアは驚いた表情であった。
この情報はまだ幹部にしか聞かされていないことだったから、ルヴィアは初耳だろうな。
「それで…その混乱を収める為に、ということですか?」
「いや、それは何とか収まったんだ」
向こうの支部長は、アイズのところの部下。よく教育されているし、仕事も抜かりない。
部下のせいで起きたトラブルだが、大事になる前に何とか収めた。
しかし。
「そこに更に、アシスファルトのチンピラ組織に喧嘩を売られて揉めてるらしいんだ」
自分で言いながら、俺は溜め息を漏らした。
全く、何処の国にも暇人はいるものだ。
優秀なルヴィアは、呼ばれるなりすぐに駆けつけてきた。
「お呼びですか、ルルシーさん」
「あ、ルヴィア…。悪いな、忙しいところ呼びつけて」
「いえ。お気になさらず」
「そこに掛けてくれ。話があるんだ」
「はい」
ルヴィアをソファに座らせ、自分も正面に座る。
すると、また仕事をサボって俺の部屋に遊びに来ていたルレイアまでもが、何故か俺の横にちょこんと座ってきた。
お前は自分の部屋に帰って仕事をしろ。
「済まんな、ルヴィア…。このアホのことは気にしないでくれ」
「あ、はぁ…」
「うふふ。ルルシーあるところに俺あり~♪」
放っとけ放っとけ。こんなアホは。
いない者として扱おう。
「それで、話というのは?」
「実はな、来週から二~三週間ほど、『青薔薇連合会』のアシスファルト支部に出張に行って欲しいんだ」
「…アシスファルト支部に出張…ですか」
「あぁ」
記憶に懐かしい、『青薔薇連合会』アシスファルト支部。
以前アイズレンシアが酷い目に遭わされた、あの不愉快な事件が起きた場所である。
あれ以降、ルレイアがたらし込んだウィンクロース家の女主人の助力と、国内の有力組織であった『SiV』の消滅により、『連合会』アシスファルト支部はめきめきと力をつけ、今ではその立場を不動のものとした。
その結果、今回我々は新しい試みに踏み切った。
「アシスファルトに『連合会』の第二支部が出来ることは聞いてるよな?」
「えぇ。勿論です」
アシスファルト帝国の『連合会』支部は、力をつけるにつれて、従来の規模では間に合わなくなってきた。
その為、更にもう一つアシスファルトに『連合会』の支部を増やそう、という計画が打ち出された。
ウィンクロース家の全面的なバックアップもあり、特に滞りなく計画は進み、つい最近第二支部の拠点が完成し、既に本部から選ばれた構成員が、予定通り向こうに赴任した。
「うふ。俺がシャリヤを落としたお陰ですよ~。ね、ルルシー。俺偉いですよね?」
ルレイアが、褒めて、と言わんばかりに俺にくっついてきた。
「はいはい、偉い偉い」
軽く頭を撫でてやると、ルレイアは満足げであった。
ったく…。恩着せがましいことこの上ないが、確かに今回の計画は、ルレイアがいたからこそ出来たことだ。
ウィンクロース家の助力がなければ不可能だった。つまりは、そのウィンクロース家の女主人を落としたルレイアのお陰なのだ。
末恐ろしい男だ…と思っていると。
ルヴィアが、おずおずと質問を口にした。
「しかし…。第二支部の計画は、支障なく進んでいるんじゃなかったんですか?何故俺が派遣されるんです?」
「ん?あぁ…。上手く行ってたんだ、つい最近まではな」
第二支部の話に戻ろう。
支部のアジトは完成し、向こうで働く人間も赴任し、本格的に始動したのが先月のこと。
しかし、ここで問題が起きた。
「どうも、下級構成員の伝達ミスで向こうの関連企業とトラブったらしくてな。活動開始早々、大混乱だったらしい」
「そうだったんですか」
ルヴィアは驚いた表情であった。
この情報はまだ幹部にしか聞かされていないことだったから、ルヴィアは初耳だろうな。
「それで…その混乱を収める為に、ということですか?」
「いや、それは何とか収まったんだ」
向こうの支部長は、アイズのところの部下。よく教育されているし、仕事も抜かりない。
部下のせいで起きたトラブルだが、大事になる前に何とか収めた。
しかし。
「そこに更に、アシスファルトのチンピラ組織に喧嘩を売られて揉めてるらしいんだ」
自分で言いながら、俺は溜め息を漏らした。
全く、何処の国にも暇人はいるものだ。