The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

sideルヴィア

ーーーーーー…酒を辞める、と決心したのは良いものの。

…よく考えてみると、それって結構辛いよな。

今までなまじ、飲酒癖があったものだから…余計に。

煙草は元々辞めたいな~と朧気に思っていたから、割とすんなり辞められたけど。

酒はなぁ…。

フューニャの為とはいえ、酒を諦めるのは結構きついな…と。

思いながら帰宅した、その日。



「…ただいま、フューニャ」

「お帰りなさい」

家に帰ると、フューニャが出迎えてくれた。可愛い。

最早帰宅時の一連の儀式となっている、全身の匂いチェック、通称浮気チェックをクリアし、ただいまのキスをせがむフューニャに応えた後。

「今日は良いものを用意したんですよ」

と、フューニャ。

「良いもの…?何?」

「あなたの好きなものです」

「…?何作ったの?」

「作ってません。買ってきました」

俺の好きなもの…。フューニャ以外に何かあったっけ?

何だろうなと頭を捻りながら、ダイニングに向かうと。

「…これ」

「ルヴィアさんの好きな銘柄だと聞きました」

ダイニングテーブルの上に、俺の好きな銘柄のワインと、グラスが二脚、置いてあった。

言うまでもなく…ワインは酒だが。

「良いのか?あれ…」

俺…飲んだら怒られるんじゃないのか?

もう生け贄にも肉にもされたくないんだが?

「酔い潰れない程度なら良いです。家で飲むなら私がセーブ出来ますし…。それに、ずっと飲まないとしんどいでしょう?」

「…フューニャ…」

あれ?気のせいかな。うちの嫁、女神に見える。

「私もお付き合いしてあげます」

「…ありがとう…!」

フューニャが可愛くて仕方ないので。

とりあえず、抱き締めておいた。
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