The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
ミューリア・エルレアス。

この女の不愉快なことと言ったら、エルスキーやアシベルの比ではない。

「そうなんだよ、ミューリア。それでまた俺に見せてくれってせがんでんだ。何とか言ってやってくれ」

「全く、あんた達と来たら本当、どうしようもないわね」

呆れたように大袈裟な溜め息をつくミューリア。

あまりにイラッとして、殴りたくなるのを必死に堪えた。

偉そうに。このビッチ女。

頼まれてもこんな女とは寝たくない。

俺はこういう、お高くとまった高慢な女は吐き気がするほど嫌いなのだ。

抱き潰してその辺に捨てておきたいくらいに。

それでもルナニアは表情を変えない。へらへらと笑ってみせる。

なんという忍耐力であることか。

「頼むよエルスキー。見せてくれ~」

なっさけない声ですがるアシベルに、俺は便乗しておいた。

「お願いしますよ~。俺達哀れな乞食を助けると思って!」

「…ったく、しょうがねぇなぁ」

何だかんだと言いつつ、エルスキーは自分のノートを俺達に差し出した。

「ほら、さっさと写せよ」

「さんきゅ!命の恩人!」

「ありがとうございます!」

笑顔で礼を言いつつも、腹の中では、何を兄貴風吹かしてんだ偉そうに、と悪態をついている。

知らぬが仏という奴である。
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