The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
基本的にランドエルスでの生活は、酷く退屈であった。

というのも。




「…」

授業中、俺は頬杖をついて教師の説明を聞いていた。

覚えておいでだろうか。俺はこう見えて、元帝国騎士官学校の主席卒業生なのである。

あの帝国騎士官学校は、ゴミ捨て場みたいな場所だったが、国内では最高峰の教育機関だった。

で、俺はそこの元主席卒業生。

つまり当時、学年で一番の成績を誇っていた訳だ。

卒業して既に5年以上たち、学校での勉強なんて全くやらなくなって久しいが。

それでもこのランドエルスでの授業は、俺にとっては幼稚園のお遊戯みたいなものだった。

授業のレベルの低いことと言ったら。授業なんて全く聞かずに、ぶっつけ本番の試験を受けたとしても満点を取れる自信がある。

もうすぐ定期試験の期間に入るというのに、この気の抜けた授業。

教師の教え方ののろまなこと、そして下手くそなことと来たら、お前そこ退けよ、と押し退けて代わりに俺が授業をしてやりたくなる。

忌々しいことこの上ないが、一応帝国騎士官学校の授業は、やはりレベルだけは高かったようだ。

あの授業を聞いていたら、こんな片田舎の冴えない騎士官学校の授業なんて、そりゃお遊戯に思えるだろう。

教師の程度も生徒の程度も低い。これで帝国騎士を目指そうなんて、涙が出るな。

こんな猿みたいな烏合の連中を相手にしなきゃならないなんて、帝国騎士団の隊長達も大変だな。他人事で良かった。

それにしたって退屈な授業。真面目に聞いていたらイライラするだけなので、俺は聞いている振りをして、頭の中は別のところに行っていた。

いつもなら早く終われば良いのにとムカついているところだが、今日は違う。

何せ今日は、ルルシーに会えるのだから!

あぁ、ルルシー。彼のことを考えるだけで、退屈な授業すらいとおしく思えてくる。

一体何の用事で来るのだろう?ルルシーはシャイだから、ただ俺に会いたいが為に来てくれるということはないだろう。

恐らく、仕事のことなのだろうけど。

それでも嬉しい。最近毎日、猿にしか会ってないから早く人間に会いたい。

今日の放課後は、エルスキーやアシベルに何を誘われようとも、速攻で帰ろう。

ルルシーが俺に会いに来てくれるのだから、他のことに割く時間なんて一秒たりとも存在しない。

…あぁ、早く会いたい。

俺の頭の中は、何処までもそれだけだった。
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