The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
…俺は、一体何をやってるんだろうな。

夜。一人でベッドに寝そべって、俺はぼんやりと天井を見上げていた。

いつまでもうじうじして、フューニャにも、アイズさんにも迷惑をかけ。

…こんなのは俺らしくもない。

俺はフューニャを失いたくない。傍にいて欲しい。

それが偽らざる本音だった。

けれどもそれを言葉にして、彼女を束縛するのは嫌だった。

拒絶されて、また一人に戻るのも嫌だった。

…なんて我が儘な男だ。

挙げ句にそのことをフューニャに伝えもせず、一人でうじうじうじうじと…。

「…」

俺は、勢いをつけてベッドから起き上がった。

最早、自棄っぱちだった。

このまま伝えずに後悔などしたくなかった。

拒絶されれば、俺はフューニャを失うけど。

でもこのまま何も言わなくたって、フューニャは俺の前からいなくなってしまうのだ。

だったら、僅かでも残っている希望に賭けるしかない。

そう思って、俺は起き上がり、フューニャが寝ているはずのリビングに向かった。




「…フューニャ」

名前を呼ぶと、彼女はくるりと振り向いた。

フューニャは眠ってはいなかった。

簡易ベッド代わりのソファに腰掛けて、クッションを抱いて座っていた。

「…あら。ルヴィアさん…。夜這いですか?」

「…夜這いじゃないよ」

出鼻を挫かれた気分になるじゃないか。

…まぁ、でもお陰で少し緊張が解けた。

「…フューニャ。あのな…名字の…件なんだけど」

「はい」

「もう決まったか?」

「…いいえ。候補は…ありますけど」

…そうか。

「…じゃあ、一つ…提案なんだが」

自分の心臓の音が、フューニャに聞こえるんじゃないかと思った。

「…俺の…名字になってみないか?」



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