The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「…なんだか、夢みたいです」

「ん?」

その夜。初めて同じベッドで一緒に寝た夜。

フューニャは俺にくっついたまま、そんなことを言い出した。

「箱庭帝国では…好きな人と結婚するなんて、有り得ませんでしたから。自分がまさか、好きな人と結婚出来るなんて思ってませんでした」

「そうか…」

箱庭帝国は、時代錯誤の強制結婚が当たり前なんだったな。

「…今もあの国で苦しんでいる人や、私を守る為に死んだ家族に、申し訳ないです」

「…そんなことはないさ」

俺はフューニャの髪をそっと撫でた。

「フューニャのことを大事に思っているなら…フューニャが幸せになることを妬んだりはしない。君一人でも地獄から救い出されたんだから、それを喜んでるはずだよ」

「…そう、でしょうか」

「あぁ。きっとそうだよ」

本当にそうなのかは、分からない。

こればかりは、死んだ人達に聞いてみなければ分からないことだ。

しかし死んだ者に負い目を感じて、前を向けないでいるよりは。

少しでも前向きに考えて、与えられた幸せをちゃんと謳歌する方が良い。

「…私といると、あなたにも不幸が降りかかるかもしれませんよ。私のせいで…」

「そんな心配は要らない。フューニャが背負っている不幸の、その何倍もの幸福で…フューニャを包み込んであげるから」

俺はそう言って、フューニャを優しく抱き締めた。






こうして、フューニャは無事にルティス帝国の国籍を取得し、合法的に結婚して、俺の姓を名乗るようになった。



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