The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
昼休み。
俺はエルスキーやアシベルと共に、学生食堂を訪れていた。
今日のランチメニューは、しょうが焼き定食であった。
ランドエルス騎士官学校の学生食堂は、少なくとも帝国騎士官学校の学生食堂よりは、味は良い。
帝国騎士官学校の学生食堂はビュッフェ形式だったが、何を食べても味気なかった。
まぁ、あの当時の俺の精神状態を考えたら、食事を楽しめるはずがないか。
けれども、そんなランドエルスの学生食堂も。
ルルシーの手料理には遠く及ばない。
彼の料理以上に美味しいものを、俺は知らない。
昨日のランチメニューのチキンサルサなんて、ルルシーのものと比べたら生ゴミも同然だ。
それでも、ここにいる限りこんなものを食べなくては仕方がないから、我慢して食べる。
「…だぁ~…」
しょうが焼き定食をパクつきながら、アシベルは情けない声を出して項垂れた。
片手には、アシスファルト語の単語帳。
食べながら単語帳を読むなんて、行儀の悪いことこの上ない。
「食べるときくらいやめとけよ」
エルスキーもこれには渋い顔。しかし。
「だってさぁ~…。やばいんだよ。今度の試験、赤点だったら夏休みの補習確定だよ?」
アシベルが食事時にまで単語帳なんて引っ張り出してきたのは、これが理由である。
ランドエルスではもうすぐ定期試験期間に入る。次のアシスファルト語の試験で赤点を取った生徒は、夏休みに補習が待ち受けている。
アシベルでなくても、真面目に勉強することだろう。
まぁ、俺は今すぐアシスファルト帝国に単身で放り込まれても会話には困らないが?
って言うか、一人で行ったことあるし。
でもルナニアは、勉強はそこまで出来ないっていう設定だから。
「嫌なこと思い出させないでくださいよ~…。俺が必死に現実から逃げてるのに」
「逃げんなよ…」
「よし。一緒に補習受けよう!ルナニア!」
がしっ、と馴れ馴れしく肩を抱いてくるアシベル。
吐き気がして、フォークで手の甲を突き刺してやりたくなったが我慢する。
誰がお前なんかと補習受けるか。死ね。
「それじゃ…今日の放課後、一緒に勉強するか?アシスファルト語」
しかも、アホのアシベルのせいで、エルスキーがこんなことを言い出した。
俺は内心で舌打ちした。
余計なことを。
「やるやる!エルスキー教えて!」
能天気なアシベルには、断る理由がない。
いつもならルナニアにも、断る理由はないのだが。
「ルナニアも来るだろ?」
「…済みません。今日はパスです」
ルナニアとしては、勿論行きます、と答えるべきなのだけれど。
今日は駄目だ。
なんてタイミングの悪い。アシベルの馬鹿野郎め。
「え~?何で?」
「実は今日、歯医者の予約入ってて」
こんな適当な嘘でもつくしかない。用事があって…なんて言っても具体性に欠けるし、用事って何だよ、と突っ込んで聞かれるのは目に見えている。
病院の予約が入っていると言うのが一番無難だ。
「何々?虫歯?」
歯医者と言っただけで、こうやって突っ込んで聞かれるくらいなのだから。
全く腹立たしい。
「なんか奥歯が痛いんですよ~…」
「親知らずじゃねぇの?」
「だったら嫌ですね…」
俺は巧みに笑って、その場を誤魔化してみせた。
本当は歯なんて、全く痛くないし。俺の親知らずは既に除去済みだし。
でもこいつらは馬鹿だから、そう思わせておけば良い。
俺はエルスキーやアシベルと共に、学生食堂を訪れていた。
今日のランチメニューは、しょうが焼き定食であった。
ランドエルス騎士官学校の学生食堂は、少なくとも帝国騎士官学校の学生食堂よりは、味は良い。
帝国騎士官学校の学生食堂はビュッフェ形式だったが、何を食べても味気なかった。
まぁ、あの当時の俺の精神状態を考えたら、食事を楽しめるはずがないか。
けれども、そんなランドエルスの学生食堂も。
ルルシーの手料理には遠く及ばない。
彼の料理以上に美味しいものを、俺は知らない。
昨日のランチメニューのチキンサルサなんて、ルルシーのものと比べたら生ゴミも同然だ。
それでも、ここにいる限りこんなものを食べなくては仕方がないから、我慢して食べる。
「…だぁ~…」
しょうが焼き定食をパクつきながら、アシベルは情けない声を出して項垂れた。
片手には、アシスファルト語の単語帳。
食べながら単語帳を読むなんて、行儀の悪いことこの上ない。
「食べるときくらいやめとけよ」
エルスキーもこれには渋い顔。しかし。
「だってさぁ~…。やばいんだよ。今度の試験、赤点だったら夏休みの補習確定だよ?」
アシベルが食事時にまで単語帳なんて引っ張り出してきたのは、これが理由である。
ランドエルスではもうすぐ定期試験期間に入る。次のアシスファルト語の試験で赤点を取った生徒は、夏休みに補習が待ち受けている。
アシベルでなくても、真面目に勉強することだろう。
まぁ、俺は今すぐアシスファルト帝国に単身で放り込まれても会話には困らないが?
って言うか、一人で行ったことあるし。
でもルナニアは、勉強はそこまで出来ないっていう設定だから。
「嫌なこと思い出させないでくださいよ~…。俺が必死に現実から逃げてるのに」
「逃げんなよ…」
「よし。一緒に補習受けよう!ルナニア!」
がしっ、と馴れ馴れしく肩を抱いてくるアシベル。
吐き気がして、フォークで手の甲を突き刺してやりたくなったが我慢する。
誰がお前なんかと補習受けるか。死ね。
「それじゃ…今日の放課後、一緒に勉強するか?アシスファルト語」
しかも、アホのアシベルのせいで、エルスキーがこんなことを言い出した。
俺は内心で舌打ちした。
余計なことを。
「やるやる!エルスキー教えて!」
能天気なアシベルには、断る理由がない。
いつもならルナニアにも、断る理由はないのだが。
「ルナニアも来るだろ?」
「…済みません。今日はパスです」
ルナニアとしては、勿論行きます、と答えるべきなのだけれど。
今日は駄目だ。
なんてタイミングの悪い。アシベルの馬鹿野郎め。
「え~?何で?」
「実は今日、歯医者の予約入ってて」
こんな適当な嘘でもつくしかない。用事があって…なんて言っても具体性に欠けるし、用事って何だよ、と突っ込んで聞かれるのは目に見えている。
病院の予約が入っていると言うのが一番無難だ。
「何々?虫歯?」
歯医者と言っただけで、こうやって突っ込んで聞かれるくらいなのだから。
全く腹立たしい。
「なんか奥歯が痛いんですよ~…」
「親知らずじゃねぇの?」
「だったら嫌ですね…」
俺は巧みに笑って、その場を誤魔化してみせた。
本当は歯なんて、全く痛くないし。俺の親知らずは既に除去済みだし。
でもこいつらは馬鹿だから、そう思わせておけば良い。