The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
翌朝。

「…気分はどうだ?フューニャ」

「…もう平気です」

平気、しか言わないな。フューニャは。

朝になると、少しは熱も下がったようだが…。やっぱり顔は赤いままだし、咳も相変わらずだ。

多少楽にはなったみたいで、それは安心だが…。まだまだ治ってはいない。

「フューニャ。俺は仕事に行くけど…。良いか?もう動き回るんじゃないぞ。絶対だからな。もし動いてたら、怒るからな」

「…もう大丈夫です」

「俺が良いと言うまでは駄目だ」

きっぱりそう言ってやると、フューニャは不満げに毛布を口許まで引っ張りあげて、こう呟いた。

「…いっそモラハラです…」

「モラハラで結構」

フューニャに無茶させない為なら、モラハラでも何でもやってやる。

「出来るだけ早めに帰ってくるから。何か買ってきて欲しいものとか、あるか?食べたいものとか」

「…大丈夫です」

「…そうか。あんまりしんどかったら、電話してくれ。すぐ病院連れていくから」

フューニャは一応頷いたが、彼女の性格上、どんなにしんどくても、それを口に出すことはないだろうと思われた。

…やっぱり、今日は最低限の仕事だけ済ませたら、ルルシーさんに頭を下げて、早めに帰らせてもらおう。

放っておいても大人しくしていてくれるなら良いが、フューニャは俺がいなかったら、絶対大人しくしていないだろうからな。

「じゃあ、行ってくるな。フューニャ」

「…行ってらっしゃい」

帰ってくるときまでに、もう少し熱が下がってると良いが…。どうだろう。

こんな状態のフューニャを置いていくことに罪悪感を覚えながら、出来るだけ早く帰ってこよう、と思った。
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