The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
一日がこんなに長いなんてことがあるだろうか。

待ち焦がれ恋焦がれ、ようやく訪れた放課後。

「…はぁ」

今すぐ飛んで帰ろうと立ち上がりかけたところ。

俺が鬼気迫ったような顔をしていることに気がついたのか、エルスキーが声をかけてきた。

「おいおい、大丈夫かルナニア。そんなに歯医者が憂鬱か?」

思わず、あ゙?って言いそうになった。

危ない危ない。素が出るところだった。

「俺、そんなに分かりやすいです?」

「今から戦場に行く兵士みたいな顔してるぞ」

本当はルルシーに早く会いた過ぎてこうなってるのだが。

歯医者に行くという言い訳はなかなか効果的だったようだな。

「苦手なんですよー…。歯医者…」

「誰だって苦手だよ。ほら、頑張ってこい」

「はーい。逝ってきまーす…」

わざと涙目になって見せ、エルスキーと、アシベルにも手を振って教室を出る。

そのまま早足で校門まで向かう。

校門を抜けて裏路地に入れば、もうこっちのものだ。



「…うふふ。今会いに行きますからね、ルルシー」

俺はルナニアの皮をひっぺがして、素に戻った。

このときの顔をクラスメイトの誰かが見ていたら、明日は大惨事になっていたことだろう。



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