The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
その日、俺はルルシーさんから、とある任務を仰せつかった。
何のことはない。簡単な仕事だ。
帝都の一角で、不届き者のチンピラ連中が無許可で銃火器の売買をしているとかで、そいつらを締め上げるだけの、簡単なお仕事。
このくらいはいつもやっているし、何の問題もなく終わらせられるはずだった。
しかし、ここで不測の事態が起こった。
俺が指揮していた部下の中に、一人、入ったばかりの新人がいたのだが。
その新人がミスをしてしまい、無防備にチンピラ連中の矢面に立たされてしまった。
それを、俺が咄嗟に庇った。
お陰で新人は無事だったが、俺はうっかり被弾してしまった。
幸い致命傷は避けたものの、軽傷、と言えるほどの小さな傷でもなく。
『青薔薇連合会』本部に駐在する医師からは、二、三日医務室で療養…つまりは入院した方が良いと言われたが。
俺はそのドクターストップをはねのけた。
三日も入院なんてしようものなら、フューニャがどんなに心配するか分かったものじゃない。
休むのは自宅でも出来るし、消毒や包帯の交換も自分で出来る。
ルルシーさんに事情を話し、三日くらい有給を取らせてもらえないかと頼んだところ。
馬鹿、入院しろと怒られた。
でも嫁が…。嫁を心配させたら可哀想だから…とか何とか色々言うと、ルルシーさんは溜め息をついて、
一週間やるから、ちゃんと休むように、とのことだった。
ちなみに俺が庇った新人だが、彼は気の毒なほど謝ってくれた。
もう良いから、気にするなと何度も言ったのだが。
切腹せんばかりに頭を下げ、何でも良いから罰して欲しいと言い張った。
この程度のミス、新人なら珍しくもないし、他の部下達にも、新人をあまり責めてやるなと言い含めておいた。
俺自身も、特に罰則を与えるつもりはなかった。
確かに被弾したきっかけはその新人のせいだが、被弾したのは俺が油断したからだ。
仕事自体は恙無くやり遂げたのだし、俺以外の人間は特に怪我もなかった。
他の誰かが怪我をするよりは、自分が怪我した方がよっぽど気が楽だ。
だから、俺は新人を責めるつもりも、罰するつもりもなかった。
しかし、新人は酷く責任を感じているようで。
いや、そりゃ多少は責任も感じてくれないと困るが…そこまで気に病む必要はないのだが。
とにかく何か罰してくれないと、ビルの屋上から飛び降りかねない勢いだった為。
仕方なく、「じゃあ俺が戻ってくるまで、毎日俺の執務室を掃除するように」と指示すると。
新人は元気良く返事をして、ホウキとバケツを片手に意気揚々と掃除に取り掛かった。
これであいつの気も紛れるだろう。
で、一方の俺は…先程言ったような、情けない格好で帰宅することになった。
何のことはない。簡単な仕事だ。
帝都の一角で、不届き者のチンピラ連中が無許可で銃火器の売買をしているとかで、そいつらを締め上げるだけの、簡単なお仕事。
このくらいはいつもやっているし、何の問題もなく終わらせられるはずだった。
しかし、ここで不測の事態が起こった。
俺が指揮していた部下の中に、一人、入ったばかりの新人がいたのだが。
その新人がミスをしてしまい、無防備にチンピラ連中の矢面に立たされてしまった。
それを、俺が咄嗟に庇った。
お陰で新人は無事だったが、俺はうっかり被弾してしまった。
幸い致命傷は避けたものの、軽傷、と言えるほどの小さな傷でもなく。
『青薔薇連合会』本部に駐在する医師からは、二、三日医務室で療養…つまりは入院した方が良いと言われたが。
俺はそのドクターストップをはねのけた。
三日も入院なんてしようものなら、フューニャがどんなに心配するか分かったものじゃない。
休むのは自宅でも出来るし、消毒や包帯の交換も自分で出来る。
ルルシーさんに事情を話し、三日くらい有給を取らせてもらえないかと頼んだところ。
馬鹿、入院しろと怒られた。
でも嫁が…。嫁を心配させたら可哀想だから…とか何とか色々言うと、ルルシーさんは溜め息をついて、
一週間やるから、ちゃんと休むように、とのことだった。
ちなみに俺が庇った新人だが、彼は気の毒なほど謝ってくれた。
もう良いから、気にするなと何度も言ったのだが。
切腹せんばかりに頭を下げ、何でも良いから罰して欲しいと言い張った。
この程度のミス、新人なら珍しくもないし、他の部下達にも、新人をあまり責めてやるなと言い含めておいた。
俺自身も、特に罰則を与えるつもりはなかった。
確かに被弾したきっかけはその新人のせいだが、被弾したのは俺が油断したからだ。
仕事自体は恙無くやり遂げたのだし、俺以外の人間は特に怪我もなかった。
他の誰かが怪我をするよりは、自分が怪我した方がよっぽど気が楽だ。
だから、俺は新人を責めるつもりも、罰するつもりもなかった。
しかし、新人は酷く責任を感じているようで。
いや、そりゃ多少は責任も感じてくれないと困るが…そこまで気に病む必要はないのだが。
とにかく何か罰してくれないと、ビルの屋上から飛び降りかねない勢いだった為。
仕方なく、「じゃあ俺が戻ってくるまで、毎日俺の執務室を掃除するように」と指示すると。
新人は元気良く返事をして、ホウキとバケツを片手に意気揚々と掃除に取り掛かった。
これであいつの気も紛れるだろう。
で、一方の俺は…先程言ったような、情けない格好で帰宅することになった。