The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「…ん」

「あら。気がつきましたね、ルヴィアさん」

「…フューニャ」

目を覚ますと、そこにフューニャがいた。

…なんだか、あんまり寝た気がしないな。

夜中の間ずっと、寝たり起きたりを繰り返していたような気がする。

その度にフューニャが傍にいてくれて、随分安心した。

「包帯を替えましょうか?」

「…自分でやるよ」

「お断りします」

一刀両断されてしまった。

お断りしますって…。

お断りされたので仕方なく、俺はフューニャに手伝ってもらって、傷を消毒し、包帯を替えた。

素人が見たら、目を背けたくなるような痛々しい傷だろうに…フューニャは顔色の一つも変えなかった。

一見、小柄で無垢な少女だが…フューニャはこれで、割と肝が据わっているのだ。

自分の夫がマフィアであることを分かっている。

「…ごめんな。フューニャ。ありがとう」

「礼には及びません。元気になったらショッピングに連れていってもらうつもりなので」

「あはは…。何処にでも連れていくよ」

可愛い服の一着や二着、買ってあげよう。

もとが可愛いから、何着てもフューニャは可愛いが。

するとフューニャは、こんなことを言い出した。

「さぁ、では身体を拭いてあげましょう。あと、着替えを」

「えっ…や…。じ、自分でやるから」

さすがにそんな…介護みたいなことをされるのは。

「何恥ずかしがってるんです?お互い裸なんて見慣れた仲でしょう。女でもあるまいし」

「そりゃそうだけど…。そういう問題じゃないって言うか…」

恥ずかし過ぎるって言うか…。

「良いから、ほら。脱いでください。汗かいてるんですから」

「えっ、やっ…。ちょ、やめっ…」

「何気色悪い声出してるんです。Mですかあなた。今度からそういうプレイにした方が良いんですか」

「…勘弁してください…」

完敗、である。

正直物凄く恥ずかしかったので、このことはあまり思い出したくない。
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