The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
そして、俺が怪我をして五日目を迎えたその日。

午後、携帯に一通のメールが届いた。

「…あ」

何かと思ってみてみると…ルルシーさんからであった。

メールを開いて、俺は驚いて飛び起きた。

起き上がった拍子に、思い出したように傷が痛んだ。馬鹿か俺は。

しかし、今はそれどころではない。

「…フューニャ。フューニャ!来てくれ」

俺は寝室から、フューニャを呼んだ。

いや、偉そうに呼んでないでお前が行けよ、と思われるかもしれないが。

そんなことをしたら、動き回るなと言っただろう、と叱られるのだ。

二回くらいそれをやって、次やったら写真ばらまく、と最後通牒を受けているので…。こうしてベッドから呼びつけるしかないのだ。

「はい、何ですか?ルヴィアさん」

「フューニャ…。今、連絡が入ったんだ。今からルルシーさんが…。俺の上司が来るらしい」

「あら…。ルヴィアさんの上司が」

まさか、わざわざ自宅に見舞いに来てくれるなんて。

「困ったな、こんないきなり…。何の準備もしてないのに」

ルルシーさんは、構うな、と言うだろうが…そういう訳にはいかない。

上司が自宅に来るのだから、それなりに準備はしなければならないだろう。

でも、こういきなりだと…。準備のしようも、

「大丈夫です。こんなこともあろうかと…。常に来客用の茶菓子を用意してますから」

「えっ…そうなのか?」

フューニャは焦った様子もなく、こくり、と頷いた。

「比較的保存の効くクッキーやスポンジケーキを常備してます。それを出しましょう。あとは飲み物ですが…。上司さんは紅茶はお好きでしょうか」

「あ…うん。好きなはずだ」

ルルシーさん、よく紅茶飲んでるから。

それにしても、来客用のお菓子を常備していたとは…。フューニャ、お前…さすがに有能過ぎるぞ。

我が妻ながら、感服である。

「では、私が用意しますので…。あなたは寝ていてくださいね」

「いや、俺もてつだっ…」

「お断りします」

「…」

…そのフレーズ、気に入ったのかな…フューニャ。
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