The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「…で、何でお前がいるんだ」

「だって。ルルシーが人妻のいる家に訪問するって言うから…。昼下がりに人妻を訪ねるなんて、絶好のシチュエーションじゃないですか。何かあったら大変でしょう?」

「AVの見過ぎだ、お前は」

「俺はAVなんて見ませんよ。だって、人妻とヤりたかったら…人妻の会員を呼び出せば良いだけですし」

あぁ、はいはい。そうでしたね。

俺はただ、ルヴィアを見舞いたいだけなのに。

何でそれに、ルレイアがついてくるんだ。

しかもこいつときたら、「一緒に行って良い?」みたいな謙虚な態度で来れば良いものを。

「ルルシー行くところに俺がいるのは当然でしょう?」みたいな尊大な態度でついてくるからな。

あぁ…もう放っておこう。

「ついてくるのは良いけどさ…。ルヴィアに迷惑かけるなよ?」

「大丈夫ですよ。俺、借りてきた猫ならぬ、借りてきたルレイアのように大人しくしてますから」

借りてきたルレイアね…。

…お前は例え借りものでも、存在感半端ないんだよ。

もう良い。騒がしくするようなら放り出そう。

俺は行きの道中でフルーツの詰め合わせを購入し、ルヴィアの自宅に向かった。

インターホンを押すと、中から出てきたのは、髪の長い、若い女性だった。

…もしかして、この人が…噂に聞く、ルヴィアの嫁?

「こんにちは。あなたがルルシーさんですか」

「ん?あぁ…。そうだ」

「そうですか。初めまして。ルヴィアさんの妻の、フューニャです」

あっ、やっぱりこの子がルヴィアの嫁。

ルヴィア…。あいつ、面食いだったんだな。

小柄で、可愛らしい顔立ちをしている。そりゃルヴィアが惚れるのもわか、

「…ルルシー?あなた…良からぬことを考えてますね?」

俺の背後から、闇のオーラを纏ったルレイアが、ぽん、と俺の肩に手を置いた。

闇ルレイアの恐ろしい剣幕に、悪寒が走った。

「な、何言ってんだよ…」

「俺の…ルルシー浮気レーダーが反応しました。俺という者がありながら、部下の妻と浮気とは…。そんなAV的展開は許しませんよ」

「しねーよ…」

ルルシー浮気レーダーって何だよ。精度が半端ないぞ。

すると、ルヴィアの嫁は冷たくこう言った。

「ご安心ください。私も夫の上司と浮気するつもりはありません。それどころか、誰とも浮気するつもりはありません」

おぉ…なんて良い嫁だ。爪の垢を煎じてルレイアに飲ませたい。

「あぁ、そういえばあなた…随分と夫を尻に敷いてるんでしたね?」

ルレイアがルヴィアの嫁に向かってそう言った。

そのとき俺は、今までルヴィアに聞かされたことを思い出した。
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