The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
俺の祈りが通じたのか。

それからおよそ10分後に、ルレイアが帰宅した。

ルレイアと言うか、今はルナニアか。

「ルルシーっ!!」

俺の顔を見るなり、通学鞄を放り投げて俺に向かってダイブしてきた。

絶対そうすると思った。

「あぁ、会いたかったですよルルシー!」

「はいはい。俺も会いたかったよ」

久々にルレイアの姿を見た。

今はルナニアの格好をしているから、特殊メイクのお陰で顔が幼いし、カラーコンタクトで目の色も変わっている。

それでも、全身にまとう黒い翳りや、既にムラムラと漂わせている妖艶なルレイアフェロモンは未だ健在。

学校でフェロモン振り撒いてんじゃないだろうなと心配になるが、そこはルレイアも気をつけていることだろう。

「はぁ。俺は今日一日ずーっとルルシーに会いたくて、そわそわしてたんですよ?妄想するだけで逝っちゃえそうなくらいだったんですからね?」

「やめろ。それは良いから、さっさと用件を済ませるぞ」

「ひどーいルルシーったら。でもそんなところが好き~」

全く、久々に会ってみれば。

ルレイアは、ちっとも変わっていない。

ランドエルスへの潜入任務に入る前、俺が心配していたようなことは今のところないようだった。

もしルレイアに何かあれば、俺はすぐにでも彼を連れ戻すつもりだったのだが…。

今のルレイアを見る限り、大丈夫そうだ。良かった。

いつも通り過ぎて、厄介なくらいだ。

「お前に話があるんだ、ルレイア」

「はい。愛の告白でしたらいつでも良いですよ?」

「誰がするか」

話が進まないのだが?

「とりあえず人払いをさせてくれ。それと…お前も着替えてこい」

「はーい」

ルレイアはくるりと振り向いて合図し、すると周りを取り囲んでいた美女達や、後ろに控えていた黒服達も、さっと別室に移動した。

よく訓練されていることだ。

「じゃあ、ちょっと向こうで着替えてくるので待っててくださいね」

「あぁ」

「あ、着替えを覗いてくれても全然大丈夫ですよ?」

「早く行け」

ふざけずにはいられないんだな、こいつは。

も~いけず~、なんてへらへらしながら着替えに行くルレイアを見送り。

彼があまりに変わっていないことに、俺は再度安堵した。

変わらないことが…必ずしも良いことであるとは限らないけど…。
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