The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

sideアドルファス

ーーーーーー…その頃、帝国騎士団では。







「…はぁ。『シュレディンガーの猫』の一件はようやく収まったが…。どうにも景気の悪い話ばっかだな」

「…そうか?」

先程廊下の曲がり角でばったり遭遇した、六番隊のリーヴァ・アギリス・ヘルブラッド。

どうやらこの男は、あの噂について知らないようだな。

知らないというのは幸せなことだ。

だが、俺一人だけがあんな噂を知っているのは癪なので…犠牲者を増やさせてもらうぞ。

「最近帝都で、とある不審人物の目撃情報がちらほら寄せられてるらしい」

「…不審人物…?」

「『全身黒ずくめで、胸に青い薔薇のブローチをつけたエロい男』が街を闊歩しているとな」

「えっ…!?」

リーヴァも気づいたようだな。

「存在そのものがバイオテロじみてるから、帝国騎士団で何とかしてくれとの要請が来てる。…こっちが何とかして欲しいぜ」

「そ、そうか…。何と言うか…ルシファー殿、元気そうで…何よりだ」

童貞だの何だのと馬鹿にしていた頃が懐かしいな。

思えば帝国騎士団は、あの頃が一番平和だった。

それを崩したのが…。

「…あ」

「ん?」

その平和を崩した張本人。

俺達の上司でもある、オルタンス・イデア・トゥーランドットと偶然鉢合わせした。
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