The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
去年までは、別段バレンタインだからと言って、特別なことは何もなかった。

自分には全く縁のないイベントだと思っていた。

しかし、今回は違う。

妻が出来た身としては…やっぱりこう、期待するものがある。

…チョコくれないかな~…みたいな。

いやいや、厚かましい期待なのは分かっているけれども。

…チョコくれないかなー…。フューニャ。

一応出社したときに、何人かの女性構成員からチョコをもらいはしたけれど。

あれは皆に配ってる系の義理チョコであって、本命ではないから。

本命チョコと義理チョコというのは、天と地ほどの差がある。

やっぱりもらって嬉しいのは、本命チョコだよな。

それも、好きな女の子からもらえたら。

これ以上嬉しいことなんてないよな。

朝、家を出てくるとき、フューニャはバレンタインのことなんて何も触れなかった。

チョコ、用意してくれてると良いな。

なんて密かに期待しながら、俺はその日、真っ直ぐに帰宅した。
< 558 / 561 >

この作品をシェア

pagetop