The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
20分ほどして、ルレイアが戻ってきた。

特殊メイクもすっかり落とし、いつものメイクに戻っていた。

カラーコンタクトも取ったので、目の色も元通り。

何より服。さっきまで、清潔感溢れる制服を着ていたのに、ゴシックなデザインの黒シャツに黒ジャケットをまとい、おまけにオリエンタルな香水の香りが漂っていた。

…いつものルレイアが帰ってきた。

これを見て、いつも通りだなぁと安心出来るのだから、人間の慣れとは恐ろしい。

明らかにこっちの方が異常だ。

「ただいま、ルルシー」

「あぁ、お帰り」

「覗いてくれても良かったんですよ?」

「誰が覗くか」

何でちょっと残念そうなんだ。

俺に他人の着替えを覗く趣味はない。しかも男相手に。

「それより、何なんださっきの女達は。俺が来るなり横にはべってきて…」

「あぁ、昨日、ルルシーが来たらたっぷりと『サービス』してやるように言い聞かせたんですよ。よく教育してあるでしょう?」

「余計なこと言うなよ…」

それで、お待ちしておりました、なんて言ってたんだな。全く。

「心配しなくてもあの女達は俺のハーレムの会員ですから、ルルシーに色目を使うことはなかったでしょう?」

「そうだろうよ」

彼女達が俺に尽くしていたのは、あくまでルレイアの言いつけだから。

媚びるような目で俺を見つめながら、彼女達が本当に見つめていたのはルレイアだ。

大体、そうでなきゃ俺に女がくっついてルレイアが黙っているはずがない。

ルレイアにしてみりゃ、ペットを貸し出したのと同じ感覚なんだろう。

全く、つくづくこいつは女の敵だ。

「それよりルレイア…。どうだ?ランドエルス騎士官学校は」

「えー」

まずは潜入先での近況を聞こうとしたら、ルレイアはこの反応であった。
< 56 / 561 >

この作品をシェア

pagetop