The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

sideルレイア

ーーーーーーー…折角久々にルルシーに会ったのだから、もっと色気のある話をしたいのに。

初っぱなから、そんなつまんない話。

ルルシーとお喋り出来るのは嬉しいけど、こんなときまでランドエルスのことを話すのは気が進まないのだが?

「気になります?」

「あぁ、めちゃくちゃ気になる」

「ルルシーはえっちですねー」

「…何が?」

というルルシーの問いには答えず。

ランドエルス騎士官学校での近況…か。

別に、特段変わったことはないのだが。

「一応、ちゃんと真面目に学生やってますよ?少なくともアホなクラスメイトは完璧に騙せてると思いますけど」

エルスキーとか。アシベルとかミューリアとか。

あの辺は救いようのない馬鹿の類だから、簡単に騙せる。

「そうか…。まぁ、お前なら上手くやるとは思うが…」

「ルルシーが心配してるのはそういうことじゃないんでしょう?」

「…よく分かってるじゃないか」

ルルシーのことなら何でも分かってる。

彼は底無しに優しいから、俺のことを心配してくれているのだ。

「大丈夫ですよ。ランドエルスは帝国騎士官学校とは大違いですから」

「そんなに違うのか?」

「来たらびっくりすると思いますよ。何もかも正反対だから」

水と油みたいなものだ。ランドエルスの生徒が帝国騎士官学校を見れば度肝を抜かすだろうし、逆もまた然り。

ただ、過ごしやすいのは圧倒的にランドエルスだった。

隊長とか副隊長とか、上の立場を目指すつもりがないなら、ランドエルスを卒業して帝国騎士になるのは賢い選択だ。

「…いじめ、とか…そういうことはないのか?」

ルルシーは、とても言いにくそうに尋ねてきた。

それがずっと気になっていたのだろう。

「ありませんよ。少なくとも、俺の目の届く範囲では」

「…そうか」

「だから、大丈夫ですって。ルルシー心配性過ぎますよ」

「いや…お前はそう言うけどな」

ルルシーは、帝国騎士官学校で凄絶ないじめに遭っていた頃の俺を知っている。

だからこそ、心配にもなるのだろう。

万が一、あの頃の俺に戻るようなことになったら、と。

そんな心配しなくても、あの頃の俺はとっくに死んだというのに。

「俺はもう大人ですよ、ルルシー」

「…」

「だから大丈夫。子供に泣かされたりしませんよ」

「…そういえば、そうだったな」

ルルシーは、安心したように嘆息した。

「お前は、一番なっちゃいけないタイプの悪い大人だったな…」

「え。ちょっと。それどういう意味ですか?」

俺は自分のことを、素晴らしく模範的な大人だと思っていたんだが?

ルルシーにせよアリューシャにせよ、俺のことを悪く言い過ぎでは…?
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