The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
退屈な授業を聞いている最中。

俺の頭の中を占めていたのは、帝国騎士団との会合のことだった。

…昨日は、ルルシーと会うことの方に夢中になっていたが。

考えてみれば、結構なことだよな。

俺の冤罪事件を経て、帝国騎士団は『青薔薇連合会』に頭が上がらなくなった訳だが。

それでも奴らが、我々にとって厄介な存在であることには変わりない。

あのオルタンスがいる限り、それは永遠に変わらないだろう。

それにしたって気になるのは、帝国騎士団より『シュレディンガーの猫』についてだ。

アイズレンシアの事前調査では、このランドエルス騎士官学校に『シュレディンガーの猫』のスパイが潜入しているとのことだった。

しかし俺は、今のところそのスパイを特定出来ていなかった。

スパイがいることは分かっていても…情報はそれだけだ。顔も名前も、性別も学年も分からない。

同じ闇に住まうマフィアの人間なら、顔を見れば判別出来る自信があるのだが…。

それにしても『シュレディンガーの猫』は、それほど派手に動き出しているのか。

あの帝国騎士団が、わざわざ俺達に声をかけてくるということは、事はかなり重大であるらしい。

忌々しいオルタンスの顔を見るのは不愉快極まりないが、あの澄ました顔に盛大に唾を吐きかけてやれるとなれば、心が踊るというものだ。

…楽しませてもらおうじゃないか。

俺は、心の中でほくそ笑んだ。

その笑顔はルナニアではなく、ルレイアのものであった。
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