The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
『青薔薇連合会』と帝国騎士団の会合。
ルティス帝国の表と裏が一堂に会し、顔を突きつけてお話とは。
10年前なら、こんなことは有り得なかっただろうな。
しばらく振りに見るオルタンスの顔は、相変わらず吐き気がするようなものだった。
更に気持ち悪かったのは、二番隊のルシェである。
かつては姉と呼んだその生き物は、憔悴したような顔で俺を見た。
あまりに吐き気がしたので、エチケット袋を持ってくるべきだったなぁと思った。
キモいからこっち見んな。
アシュトーリアさんはオルタンスと簡単に挨拶をし合い、軽く牽制しながら、全員テーブルについた。
当然、俺はいつものごとく、舐めた態度で挑むつもりだった。
まずは手始めに、電車の中によくいるマナーの悪い女性のように。
メイクに取りかかることにした。
大体俺、最近ずっとルナニアとして潜入任務してたから、『シュレディンガーの猫』の動向なんてほとんど知らないし。
知ってる人同士で仲良く喋ってくれ。
その間に、俺は化粧をする。
席に着くなりコスメポーチを取り出し、化粧水をつける。
それを見て、隣のルルシーは呆れたような顔をし、オルタンスを除く帝国騎士団側は露骨に顔をしかめ、それ以外の人は何事もないかのように平然としていた。
誰にも、特に何も言われることなく。
話は本題に入った。
「単刀直入に言う。我々は箱庭帝国のマフィア、『シュレディンガーの猫』を排除したい。『青薔薇連合会』はそれに協力してもらいたい」
まぁなんとも。
分かりやすく、シンプルな要求であることだ。
オルタンスは少しも取り繕わなかった。憎いマフィアに対して頭を下げ、協力を申し出るなんて屈辱的なことだろうに。
この男はそういう恥だのプライドだのは、産着の中に忘れてきたんだろうなぁ。
それがこいつの長所でもあり、また大きな短所でもあるが。
「成程ねぇ…」
アシュトーリアさんは優雅な所作で、自分の髪を指に巻き付けてくるくると弄った。
彼女もなかなかに舐めた態度であるが、その女王然とした品格の為に、少しも滑稽には見えない。
「返事のほどは?」
「そうねぇ…。にわかには答えが出しづらいところだけど」
アシュトーリアさんが何と答えるにせよ、俺はその判断に従うのみだ。
ということで、俺は優雅にファンデーションを顔に塗る。
「私達としても『シュレディンガーの猫』には手を焼いているわ。あれらの厄介なことと言ったらないもの」
アシュトーリアさんまで、奴らを「厄介」だと。
それほどまでに『シュレディンガーの猫』はルティス帝国に浸出してきているらしい。
こりゃ、早いところランドエルスに紛れ込んでいるというスパイを特定しないと。
俺は状況をよく知らされていないから、悠長にしていたが…。
しかも今に至っても、悠長にアイラインを引いているが。
俺もそろそろ動いた方が良いかな。
まずは手始めに、メイクを完成させよう。
アイラインを引いて、アイシャドウを塗る。
今日のアイメイクは黒で統一するつもりである。
さてチークは何色にしようかな…と考えていると。
「…それじゃ、ルレイアに決めてもらうことにしましょうか」
名案!とばかりにアシュトーリアさんが言い。
さすがの俺も、これにはチークを選ぶ手が止まった。
ルティス帝国の表と裏が一堂に会し、顔を突きつけてお話とは。
10年前なら、こんなことは有り得なかっただろうな。
しばらく振りに見るオルタンスの顔は、相変わらず吐き気がするようなものだった。
更に気持ち悪かったのは、二番隊のルシェである。
かつては姉と呼んだその生き物は、憔悴したような顔で俺を見た。
あまりに吐き気がしたので、エチケット袋を持ってくるべきだったなぁと思った。
キモいからこっち見んな。
アシュトーリアさんはオルタンスと簡単に挨拶をし合い、軽く牽制しながら、全員テーブルについた。
当然、俺はいつものごとく、舐めた態度で挑むつもりだった。
まずは手始めに、電車の中によくいるマナーの悪い女性のように。
メイクに取りかかることにした。
大体俺、最近ずっとルナニアとして潜入任務してたから、『シュレディンガーの猫』の動向なんてほとんど知らないし。
知ってる人同士で仲良く喋ってくれ。
その間に、俺は化粧をする。
席に着くなりコスメポーチを取り出し、化粧水をつける。
それを見て、隣のルルシーは呆れたような顔をし、オルタンスを除く帝国騎士団側は露骨に顔をしかめ、それ以外の人は何事もないかのように平然としていた。
誰にも、特に何も言われることなく。
話は本題に入った。
「単刀直入に言う。我々は箱庭帝国のマフィア、『シュレディンガーの猫』を排除したい。『青薔薇連合会』はそれに協力してもらいたい」
まぁなんとも。
分かりやすく、シンプルな要求であることだ。
オルタンスは少しも取り繕わなかった。憎いマフィアに対して頭を下げ、協力を申し出るなんて屈辱的なことだろうに。
この男はそういう恥だのプライドだのは、産着の中に忘れてきたんだろうなぁ。
それがこいつの長所でもあり、また大きな短所でもあるが。
「成程ねぇ…」
アシュトーリアさんは優雅な所作で、自分の髪を指に巻き付けてくるくると弄った。
彼女もなかなかに舐めた態度であるが、その女王然とした品格の為に、少しも滑稽には見えない。
「返事のほどは?」
「そうねぇ…。にわかには答えが出しづらいところだけど」
アシュトーリアさんが何と答えるにせよ、俺はその判断に従うのみだ。
ということで、俺は優雅にファンデーションを顔に塗る。
「私達としても『シュレディンガーの猫』には手を焼いているわ。あれらの厄介なことと言ったらないもの」
アシュトーリアさんまで、奴らを「厄介」だと。
それほどまでに『シュレディンガーの猫』はルティス帝国に浸出してきているらしい。
こりゃ、早いところランドエルスに紛れ込んでいるというスパイを特定しないと。
俺は状況をよく知らされていないから、悠長にしていたが…。
しかも今に至っても、悠長にアイラインを引いているが。
俺もそろそろ動いた方が良いかな。
まずは手始めに、メイクを完成させよう。
アイラインを引いて、アイシャドウを塗る。
今日のアイメイクは黒で統一するつもりである。
さてチークは何色にしようかな…と考えていると。
「…それじゃ、ルレイアに決めてもらうことにしましょうか」
名案!とばかりにアシュトーリアさんが言い。
さすがの俺も、これにはチークを選ぶ手が止まった。